第278話 誤解
「そろそろ本題に入らせてください」
なんかどっと疲れた……。
聖女院の人たち、癖の強い人が多すぎるんだよ……。
ディアナさん、なんだかツヤツヤしてるし……。
葵さんの専属メイドのレミさんのことは知らないが、ディアナさんやカーラさん、それにセリーヌちゃんもそうだけど、専属メイドさん達ってみんな一癖はある人達だよね……。
僕、専属メイドさんがエルーちゃんで運が良かったのかもしれない。
いや、もしかするとエルーちゃんも同類だったりするのかな……?
……今は考えないでおこう。
「ハインリヒ王家の話はソフィア王女から伺いました。ハイエルフの確執は誤解によるものですよね」
「誤解……?」
「そもそもハーフエルフが魔力量が少ない種族だという考え方が間違いですから。サンドラさん、試しに一週間で全ハイエルフより強くなってみませんか?」
「試しにで最強になれるのなら、苦労はしないと思うのだけれど……」
そんなことないけどなぁ……。
あくどいことをしてしまえば、苦労しなくてもある程度は強くなれてしまうし……。
単にこの世界の人達がその知恵を知らないだけだ。
まあゲームのように命を投げ捨てたりは出来ないので、ゲーム廃人と同じ情報を勝ち取ることが極めてゼロに近いことは何となく分かるけどね……。
「ですが、これが一番安全で、向こうにも大打撃を与えられる手段だと思いますよ。ソフィア王女が次期女王サンドラさんを擁立したことはハイエルフに知れ渡っているはずです。今下手に聖女院の外に出れば、刺客がやってくるかもしれないのでしょう?」
「ええ。ですから一番安全な聖女院に匿っていただいております」
「外に出るにも強くならなければ、すぐにでも足元をすくわれてしまいます。それに、ハイエルフよりも魔力があることは"魔力視で見れば一目瞭然"ですから」
「確かに……。サンドラちゃん、やってみない?」
「ソラ様……わかったわ。私、やってみる」
「では、善は急げですね」
するとやがて軍隊のように聖影の人達がやってくる。
その数30程だろうか?
ほとんどの人がみたことがない人達だ。
「聖影部隊、只今参りました」
「くぅ~ん!はっはっ……」
「いや、犬はもういいですから……」
「……お慈悲……」
「豚も今度にしてください……」
「……はい」
なんでそんなに悲しそうなの……?
「聖影の皆さんに任務です。一週間後、サンドラさんと私が王城に行きます。ですからそれまでの間にすべてのハインリヒのハイエルフを王城に集めてください」
「「はっ!」」
「サンドラさん、では行きますよ」
僕はサンドラさんの手を取り歩みだした。




