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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第34章 堅忍不抜
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第265話 自我

「よかった……収まりましたね」

「な、ななななっ!?」


 ぽぽぽぽぽっと顔が熱くなっていくのがよくわかる。


「ふふ、初めて、捧げてしまいました……」

「私も……って、そうじゃなくてっ!」

「うふふ、それは光栄ですね」

「そ、そんな……リリエラさんには、ルークさんが……」

「あら、でも女の子同士なら、ノーカンですわ」

「っ……!」


 女の子同士じゃないから全くノーカンじゃないんだけどっ……!


「ああ、ソラ様は女性愛者なのでしたね……。それは申し訳ありません。ですが安心してください。もちろんソラ様は敬愛しておりますが、恋愛感情としての愛情ではございません。エリス様のお相手を盗ろうなどとは思っておりませんから」

「っ……リリエラさんはっ!もっとご自分を大事にしてくださいっ!!」


 僕の性別の秘密は、墓場まで持っていかないといけなくなってしまった……。




「全く、余計な手間を増やしてくれるな……」


 すぐさま転移してきたシルヴィアさんに光の拘束(シャイニングバインド)で拘束されるマナ夫人は、気を失っていた。


「ごめんなさい……」

「い、いえ……決して奥方様のせいではございませんから」

「そうではなく……ヒール」


 僕はマナ夫人の骨折をもとに戻した。


「私、母や姉にはめっきり弱かったんです。二人はいつも手が先に出て、それから口が出る人でした。向こうではこんなに強くなかった私は、それが普通なのだと、家族ってそういうものなんだと思って、段々と諦めるようになりました」

「お義母様……」


 シェリーが僕の手を握ってくれた。


「でもここに来て、それが普通ではないことに気付きました。殴って罵倒するだけが家族のコミュニケーションではないのだと……。そう思いはじめてから私はセフィー達がが同じ境遇の親を持っていたことを知りました」

「お義母様……」

「私はシェリーやセフィー、そしてシルク君に私と同じ道を辿って欲しくありませんでした。その結果、私はあんなことを……」


 あんなに悲しいことを他の人に体験して欲しくなんかない。


「リリエラさん、私を止めてくれて、本当にありがとうございます」

「いえ、これはただの私のエゴですから」

「それでも、ありがとうございます」


 少し照れているリリエラさんが新鮮だった。


 そして僕はシルク君に向き直る。


「シルク君、もしよければだけど、私と一緒に来ない?」

「ソラ様と、ですか?」

「はい。私と同じ境遇の人たちには、幸せになって欲しいの。でも、私には全ての同じ境遇の人達を救うことは多分できないと思う。だから、これは私のエゴ……」


 僕はその勤勉で頑張りやさんな手をそっと手に取る。


「シルク君、私の自己満足に付き合ってくれない?」

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