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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第33章 暗雲低迷
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第260話 預言

 ――学園が始まってしばらくして。


 僕はエルーちゃんと学園に貼り出されていた掲示板を眺めていた。


「あら、あなたはここには来ないと思っていたのですけれど……」

「リリエラさん」

「御自身以外の結果でも気になるのですか?」


 確かに、トップからはいつものメンバーだ。


1位 シエラ・シュライヒ   1000点

2位 リリエラ・マクラレン  945点

3位 エルーシア       902点

4位 イザベラ・フォークナー 834点

5位 ノエル・ライマン    784点


「ええ。今回も一緒に勉強しましたから。皆さんの成績は、私の教え方が間違っているかどうかの指標のひとつでもありますから」

「ふふ、そういうところでも研鑽を忘れないのが貴女の素敵なところなのですけれど」

「それは美化しすぎですよ……」

「もう、本当に謙遜一辺倒なのですから……。私が点数が伸びて一喜一憂しているのが恥ずかしく思えてくるではありませんか……」


 ゲームの事前知識のおかげで普段から数学と英語と聖女史だけしかしなくて良くなっているんだもん。

 みんなが10教科やっているところ、僕の場合他の教科は卒業までの知識が足りているため、3つだけやっていればいい。

 当然3つだけに費やせばいいのだから、時間も他の人より取れるのは目に見えている。

 そのせいか聖女院の執事さんに用意してもらった二年生以降の教材を見て先の勉強に手をつけているくらいなんだよね……。


 流石にずるをして得た実績に誇るわけにはいかず、僕は何も言えないだけだった。




 テスト返しも終わり帰路に着く。


「シェリーもセフィーも上がってたね」

「来年は同じクラスですね」

「エルーも、上がってる」

「それを言うなら、ソーニャさんも上がってるじゃない」

「エルーも」


 ずいっと顔の前に現れて来る。

 相変わらず距離感が分からない……。


「ほめて、あげて」

「そ、そうだね……」


 思えば最近、エルーちゃんにあまり感謝の言葉を伝えてなかったな……。


「エルーちゃん900点おめでとう。いつも私のためにありがとね」

「い、いえ……」


 僕が軽く撫でると、さらりとした髪が気持ちいい。

 少しエルーちゃんの顔が紅潮すると、何故かソーニャさんがうんうんと頷いていた。


<――告げる>

「「っ!?」」


 急に拡声魔法で声が聞こえてくる。

 この声は、シルヴィアさんか?

 隣にいた二人とも祈るように両手を合わせていたので、僕も真似る。


<預言の(とき)が来た。第101代聖女、柚季(ゆうき)真桜(まお)様は此度、初めて転生という形で御光臨なされる。人の子らよ、来るべきに備えよ――>


 ……そうか、もうそんな時期なのか。


「預言の刻っていうのは?」

「今から丁度一ヶ月後に御光臨なされるというエリス様の予言です。これは外れることはありません」


 すごいな神様……。

 「来るべきに備えよ」って、そういうことか。


「ってあれ?そういえば産まれるのちょっと早くない?」


 妊娠していたの確か夏くらいだったような。


「順当にいくなら向こうの世界では5月産まれくらいになると思うんだけど……」


 真桜ちゃん、苦労しないといいんだけど……。


「確か母親の魔力が胎児の成長を促進させると言われているようです」

「ああ、魔力が作用しているんだね」


 真桜ちゃんが無事に産まれますようにと、僕も神様に願うのだった。

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