第243話 合図
「師匠ぉっ!!」
僕に飛び込んで抱き着いてくる。
あんなにボディータッチを拒否していたステラちゃんが、嘘のようだ。
「エルーシアさんも、お久しぶりですっ!」
「ステラさん!?どうしてこちらに……」
「私が約束したておいたんです。『ベレー帽につけた聖印が消えたとき、新しくできたワープ地点にワープ陣でワープしてきてください』って」
「そうですぅ……。突然聖印がきえて、びっくりしたんですよぉ!!」
別れ際、何かあったときに招集できるように、僕はあらかじめ約束をしておいたのだ。
「師匠、お元気でしたかぁ?」
「うふふ、久しぶりの癒しです……」
「「……」」
周りが何と言おうと、僕はこの癒しの空間を満喫するのだ。
「ソラ様、まさかそういうご趣味が……」
「ぐぅ……まさか身長を縮めたり胸を小さくすることを望むことになるとは……」
なんで忍さんが一番ダメージ受けてるの……?
それに僕はロリコンじゃないってば……。
かわいいものが好きなだけで、性的に見ているわけじゃないよ。
ほんとだよ。
ステラ分を十分に補充した後、僕は聖印をベレー帽にまたつけた。
「ありがとうございますっ!それで、私を呼んだ理由はなんですかぁ?」
「実は……」
僕はステラちゃんに今回の概要を説明する。
「ひ、東の国が……乗っ取られたぁっ!?」
「しぃーっ!声が大きいですよ、ステラちゃん!」
ここは寮。
誰が聞いているかわからない。
「ご、ごめんなさいぃ……」
「今回の王都奪還では移動は基本的に獏にまかせるつもりですから、皆さん大声を出すのはなしですよ」
「わ、わかりましたぁ……」
ステラさん連れてくの、間違いだったかな……?
でも、もし四天王だった時にステラさんがいるのは心強いからな……。
「それで、まずはいかがいたしますか?」
「まずは、その宰相の樹村さんという方を見に行かせてください」
「なるほど。ルートは私たちにお任せください。まずはワープ陣で梛の国の中へ向かいましょう」
鎖国していると聞いていたが、事前に中に入ってくれていたみたいで、国内にワープ陣を敷いてくれていたいようだ。
「もう、無茶しないでって言ってたのに……」
「これくらい、無茶のうちには入りません」
「ありがとう。二人とも」
「ふわぁ……」
「……濡れてきました」
僕が二人をなでると、嬉しそうにする。
「そういえば、お二人のお義母様とのご関係は?」
「これは失礼を。申し遅れました、私は嶺神流。東の国、嶺本家の血筋のものです」
「聖女院聖影、嶺忍と申します。以後お見知りおきを」
「なるほど、楓様のご家族の……」
「じゃあ、いきますよ」




