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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第23章 奇策妙計
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第176話 決勝

 決勝戦。


「結局こうなったね……」

「お手柔らかにお願いします……」


<このメイドさんが決勝まで残ると一体誰が予想したでしょうか!?今大会注目のダークホースの正体はっ!?な、ななななんと!Sランク冒険者『水の賢者』!1年Sクラス、エルーシア!>


「「っ!?」」


 ミア様によって突然開示されてしまった情報に僕達は驚きを隠せずにいた。


<対して!その相手となるのはそのご主人様!大聖女ソラ様の弟子にしてSランク冒険者『乙女の秘密』の二つ名を持つ少女!1年Sクラス、シエラ・シュライヒ!>


 ちょ、ちょっと!?

 『乙女の秘密』なんて二つ名、貰った覚えはないんだけど……!?


<どうしてこの二つ名になったのかは定かではありませんが、未だに秘密の多いソラ様の弟子に相応しい二つ名と謂えるでしょう!>


 僕の願いとは真逆に、ミア様はどんどんと僕達の身の内を暴露していく。


 観客が大いに湧きあがる。


 ミア様は言って良いことと悪いことの分別は出来る人のはず。


<決勝戦は特別ゲストに解説していただきましょう!第99代聖女様、柚季(ゆうき)(さくら)様です!>

<ふふ、よろしく御願いね>


 やっぱりサクラさんの仕業か……。


 『乙女の秘密』の秘密までは知られなくてよかった……。

 サクラさんに『乙女の秘密』の由来なんて知られたら、絶対に面白がって広められるに決まってる……。


 案の定、エルーちゃんをみると笑いのつぼに入ってしまったようで、お腹を抱えてぴくぴくしている。


「エルーちゃん……」

「ごめん、なさっ……ふっ……」


<サクラ様、決勝の二人についてですが、どのような戦いになるでしょうか?>

<あらかじめ言っておくわ。この戦いが、次世代の魔法使いを象徴する戦いになると思うわ。魔法使いを目指している皆は、この戦いを目に焼き付けておくのよ……>


<素晴らしいお言葉を、ありがとうございます!それでは皆様、準備はよろしいでしょうか!では、決勝戦、始めて参りましょう!スリー!ツー!ワン!>


「「「トリック・スタート!」」」


 エルーちゃんがどれほど強くなったのか、試す良い機会だ。


「いきます!テティス様っ!」

「任せて!」


 エルーちゃんの水の刻印からティスが現れる。

 準決勝でもソフィア会長にやられた技だ。


大洪水(グレート・フラッド)!」

大寒波(コールド・ウェーブ)!」


 練度とレベルの高い水の波はもはやステージ全体を飲み込む大津波となって僕の体を飲み込む。


 時間差でティスがそれを凍らせると、僕を閉じ込める氷の塊の完成だ。


<まさか、『水の賢者』も聖獣テティス様を従えているとは!初手から連携で大技を繰り出しました!ここからではシエラ選手は見えませんが、これは辛いか!?>


 上級の『ホーリーライトバリア』を張って防いだのは良いものの、閉じ込められてしまった。


「どうよ!私とエルーのコンボ、素敵でしょう?」

「まだです!ブザーは鳴っていません。それに、シエラ様がこの程度にやられるわけないですから……」

「ちょっと、もうちょっと余韻に浸っても……」


 エルーちゃんは状況理解が早く、正確だ。

 敵に回すとよく分かるけど、とてもやりづらい相手だ。


光輝く太陽爆発(ライトニング・フレア)


 氷の塊もろとも全てを光の爆発で吹き飛ばす。


<シエラ選手、無傷だ!だが、決勝まで使わなかった光魔法をここで初めて使いました!>


 エルーちゃん相手に手を抜くことはできないからね。


「ウォーターガン!」


 エルーちゃんは高圧の水鉄砲を放つ。


 まともに当たればヤバイのはわかる。


 リフレクトバリアで跳ね返している間に、エルーちゃんとティスは僕の懐近くまで来ていた。


「「氷の巨人(アイス・ゴーレム)!」」


 そのままエルーちゃんは氷の拳で僕に殴りかかる。

 僕がそれを避けると、続けて巨人の拳が飛んでくる。

 リフレクトバリアで弾くと、もう一人の巨人が殴りかかってくる。

 それを身体強化でパシンと受け止めると、ティスが近距離からウォーターガンを放ってくる。

 間一髪でしゃがんでかわすが、このままではまずい。


 四人で畳み掛けるとは、考えたな……。

 杖一本というルールでは、僕ではどうしても手数で負ける。


 そのルールの穴をついた畳み掛けは流石エルーちゃんの作戦といえる。

 このままではジリ貧だ。


「やるね、エルーちゃん!」

「私も!少しでもあなたに近づくために!考えてますから!」


 ゴーレムの一撃をかわし、エルーちゃんのパンチを受け止める。


「エルーちゃんには、とっておきを見せてあげる」

「っ!?」

光輝く太陽爆発(ライトニング・フレア)


 逃れられないように拳をつかむと、僕をも巻き込むように最大出力の光の爆発を起こす。


 弾け飛ぶ瞬間に手を離すと、左手の杖離して右に持ち替え、そのままリフレクトバリアを自分に張る。

 これが僕の手数への回答。

 杖が一本しかないのならば、一本の杖を持ち変えて左右で交互に使えばいい。


 爆発の瞬間に二倍に跳ね返された超爆発は、僕以外の全てを飲み込んだ。


 ビィィイイイイとブザーが鳴る。


<うおおおお!シエラ選手、優勝です!>

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