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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第100章 晴耕雨讀
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閑話280 乳吸い

【柚季真桜視点】

「ソラちゃんの!ちちが!!吸いたい!!!」


 ここは聖女対策会議室。

 またの名を聖女会――ただのお茶会とも謂う。


「はぁ……育て方を間違えたかしら?」

「もう手遅れだろう。サクラ、アンタも大変だね」

「転生者の思想を変えるなんて元から無理だったものね……」


 葵さんもママもサツキちゃんも失礼な。

 英才教育の賜物ぞ?


「何を言うとる?こちとらまだ赤子じゃぞ……」

「赤子は『じゃぞ』なんて使わないのよ。化けの皮剥がれてるわよ」

「そんなことより、目の前を見たまえよ」


 本日の議題は、現在聖女院界隈を賑わせている、アレだ。

 スカイきゅんを抱くパッパ……いや、マッマが、息子にせがまれ母乳……いや父乳(ふにゅう)を与える姿はまるで牛乳を注ぐ女のごとく絵画として完成されたものだった。


「はい、とんとんとーん!」

「けぷぅ」

「よくできました!うふふ、えらいえらーい!」


 もうこれをひとつのジャンルとして確立してもいい気がしてきた。

 私に興奮するだけの器官が育っていないことだけが何よりの悔いである。


「男の子の雄っぱいから、溢れ出る白い液体なんて、そんなん……そんなん……!」


 吸うしかないっしょ……っ!!


「一年前まで乳を吸っていた乳吸い元プロフェッショナルの肩書きを持つ私としては、ソムリエとしての知的探究心がくすぐられていくのさ」

「恥的の間違いでしょ」

「吸っていただけで元プロ名乗れるなら、人間産まれたときは皆乳吸いのプロだよ……」

「り、凛ちゃん……?」

「な、何……真桜ちゃん?」


 普通そこは乗るところ……いや、同じ同士(ソウルメイト)なら乗るべきタイミング。


「あなたまさか……吸ったのね!?吸ったんでしょう!?エ○同人みたいに!白状なさいっ!」

「の、ノーコメントで……」

「あら、私と二人で吸いながらお楽しみなされたではありませんか」

「東子ちゃんっ!言っちゃダメだって……」

「くぅっ……くうぅぅぅ……!『卒業したら今度は二人からも出るようにしてあげるからね』とか、言われたのね……!」


 無言で顔を赤らめるのが答えになっているんだよ、諸君ッ!!!!


「あなた達、普通に気持ち悪いわよ……。男の子に何を求めてるの?」

「これを産んだのはママでしょ」

「こんな妖怪乳吸い幼女(モンスター)を産んだ覚えはないわよ……」

「認知してっ!」

「あの、本人がいる前で言わないで貰えません……?スカイの教育にも悪いですし」


 しまった、当の本人がやってきてしまった。

 いや、それくらいでへこたれる私ではない。


「やめて欲しいのなら、私にもちちを吸わせなさいっ!」

「えぇっ!?まぁ、別にいいけどさ……」

「いいのっ!?」

「いっ、一回だけだからね……?」


 なんとエロティックな響き……!


「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ……勝ち申した……!」

「マオタン聖人……いやマオタン性人が現れた……」

「普通そこは幼児退行するところじゃないの?何で時が進んでるのさ……」

「それは……」

「ほら、御託はいいから吸いなさい」

「んむー!」


 そんな、積極的なっ……♥️


「ぷはぁっ、はぁっ、あ……」

「あ?」

「甘い……だと……!?」

「そうなんだよね。スカイは甘いのが好きだからって私のしか飲まないんだよ」

「スカイお前、可愛い顔してなかなかにグルメだな……」


 だがこの旨さと背徳感を知っているとは、仲良くなれそうな気がする。


「ふぉっ、ふぉっ……ふぉ……ぱたり」

「あ、マオタン性人が倒れた……」


 いい……人生だった。

 我が生涯に悔いは……一片どころか沢山あるけれど。


「生まれてすぐ死のうとしないでよ、ほら起きて!とんとんとーん!」

「けぷぅ」

「擬音で誤魔化そうとしないでよ。えらいえらーいしないからね?」

「そうやってソラちゃんが蔑むコンテンツの配信はまだですか?」

「えっ……いや、そういえば昨日、罵倒ボイス録ったんだよね……」

「ぬおおぉ……供給過多……!」


 ぱたりとまた倒れる私に、スカイはなにも分からなそうに無表情で私に手を伸ばしていた。

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