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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第100章 晴耕雨讀
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第944話 鬱屈

「ルージュちゃんの、元気がない?」

「はい。ソラ様が治療中にエリス様お力添えの上、聖女様方と分担して各地の浄化していた時の事です」


 「エリス様を降ろしてではありますが、子供の頃に疫病で死にかけた私が今度はそれを浄化しているなんて、人生は分からないものですね」とエルーちゃんは嬉しそうに話す。


「は、話が反れてすみません……。その時についでにご挨拶をしたところどうやらお心を病まれていらっしゃるようでして……」


 その場でエルーちゃんが手を握って回復はしたそうなのだが、あくまで姑息な方法でしかない。


「全く、溜め込む前に、相談してくれれば良かったのに……」

「ふふっ、どなた様に似たのでしょうね……?」


 エルーちゃんは最近笑顔を使い分けるようになった。

 太陽と月で例えるとしたら、今の彼女は月のような怖いくらい静かな笑みだった。


「ごめんごめん、降参。でも、私でなくとも他に相談できる相手はいるはずなのに……」

「次期領主になるための試練だったのではないでしょうか?」

「うーん、まぁ……そっち方面に関しては確かに疎いな」


 僕では力になれるか分からなくなってきた。


「でも、聞いてる限りだとマークお父さん達と何かすれ違いがあるみたいだね」


 心労があるにしても、エルーちゃんが心配して僕に話すくらいだ。


「忍ちゃん」

「イエス・マイ・エンジェル!」

「なにその挨拶……」


 まぁ天使ではあるけれども。


「罵倒か命令をお選びください」

「二択になってないし……」


 自動券売機の案内か何か?

 罵倒を選ぶわけないでしょ。


「報酬ははずむから、ルージュちゃんの心労の原因を探ってきて」

「御意」


 「聖影総動員で調べて」と付け加えると、忍ちゃんは透明になっていく。


「ふふっ、相変わらずシスコンでございますね」

「そこは妹思いって言ってよ……」


 さて、これが試練とマークお義父さんとのすれ違いの結果であると仮定したとして、ルージュちゃんの心労の原因はおおよそ見当がついている。

 他人を使うのが上手なルージュちゃんが、次期領主としての手腕だけを問うているのなら、悩む必要もない。


 災害や領地問題のようなもので度を超えているのならマークお義父さんや僕を呼ぶだろう。

 だからその類いではなく、人間関係絡みであると僕は踏んでいる。


 僕の妹を悩ませている輩はどこの誰なのか……。


「これが仮に人間関係絡みだと仮定して、どうやって対象に近付くか、だよね……」

「失礼します、ソラ様」

「はい、どうぞー……って、東子ちゃん、おかえり」

「先ほどソラ様に王宮からお手紙が来ておりまして。こちらララ様からいただきました」

「ララちゃんから……サンドラさんの出産記念パーティー!?」


 産まれたのっ!?

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