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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第100章 晴耕雨讀
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第906話 他責

(ひいらぎ)秀哉(しゅうや)。ギャンブル狂いになり家庭を省みず離婚。その後転職を繰り返すも長続きせず、最後の望みの転職先で女を引っかけたものの子持ちであることがバレて離婚。そんな経歴に、違和感を覚えたことはなかったかしら?』

「えっ……」

『あの男がギャンブルに狂ったのは、そう思い込ませるように私が手を回したからよ。同期の誘いで始め、最初は勝っていたものの、徐々に負けるように仕向けてね』

「そ、そんな……」

『そして転職先でうまくいかなかったのは、私がギャンブルに溺れた男だと社内で広めるように言ったからよ。最後に紹介した女も、秀哉が娘のことを話す前に急用で帰らせて、結婚まで知らせなかった』


 凛ちゃんのお父さんだけでなく、義母もまた被害者だった。

 もうどこからそんな伝手を拾ってくるのかも分からないけれど、それだけ顔の広さだけは断トツだったのだろう。

 普通、その人がちょっと気にくわないくらいで他人の一家の

 そのどれもすべてが僕のせいだった。


「馬鹿げた執念だ」

『褒め言葉と受け取っておくわ』

「私のせいで……」

「違います、天先輩のせいじゃないです!ギャンブルに手を出したのは父の心の弱さのせいです。あんなの、自業自得ですから」

『いいえ、全部ソラのせいよ』

「君は自分の犯してしまったことを他責にしているだけだろう。まるで犯したことの重大さに後に気付いて言い訳をする子供だな」

『あなたのように正義を掲げた女はごまんと見てきたけれど、心の支えがなくなったら皆正義が揺らいでいくものよ』

「聖騎士を嘗めるな」


 涼花さんが切りつけるも、姉はまた霧化する。


『話がそれたわね。それからソラが行方不明になり、うちの倉庫から出てきた。後日遺体を見た瞬間に分かったわ』


 『これは私の弟じゃない』。


 エリス様が作り出した、完璧に同じ神体だ。

 彼女は何を根拠に、そんなことを言えるのだろう?


 でもその質問をしたとて、『私が弟のことを分からないはずがない』と言われればそれまでだろう。


『捏造に気付いた私は、まず遺された家族を手にかけた。まずはママを。「ソラを殺したのは、あなたのせいよ」と何度も、何度もあの人に呟いたわ。そしたら心が折れたみたいね。肇も殺そうとしたけど、流石に厳重すぎて無理だったわ。そうよね?道理で嶺家が私の手を逃れると思ったわ。だって私が神の力に逆らっているんだものね』


 そして姉は一度確かに()()()

 転移ではなく転生であったことは確かだった。

 何故なら、一度死んでいないと、あの時不死王リッチが姉に化けることができなかったはずだから。


『そうして自殺した私は、メフィストの弟に会った。彼ったら、追放した兄を連れ戻したい、なんて面白いことを言うのよ?だから、ソラ、あなたがここにいるのを聞いて、面白そうな約束も交わしてこの世界に来たの。まぁ、返すのなんて何時でもいいもの、時効なんてないわ』


 霧からまた実体に戻った姉は、あの実家を思い出すような包丁を片手に持って、僕に語りかけ始めた。


『さぁソラ、話は終わったわ。 ほ ら 、 お い で 』

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