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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第100章 晴耕雨讀
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第867話 手洗

 アイテムボックスから『家』のアイテムを取り出す。

 二階建て瓦屋根付きの普通の一軒家、という感じの家が出現する。


「何度見ても思うが、これを仮拠点と呼んでいいものか……」

「仮設として立ててるんですから、誰がどう見ても仮拠点でしょう?」


 耐久性はそこまでないが、見た目は日本製っぽいので地震くらいは軽く耐えそうだ。

 ただそれはきちんとした場所に基礎を埋め込んでいるからであって、ただ置いただけでは駄目だし、ただ地面に埋めただけでも駄目なんだよね。

 地盤が固くないところに埋めても意味がないので、その辺りは土魔法で地層の確認をして、駄目なら別の場所に移動するか地盤修正を試みる。

 とはいえトイレや水道も通っているわけではないし、食事が完備されているわけでもない。

 トイレは個室でした後、僕や凛ちゃんが魔法で取り除くしか手段がない。

 それに魔物からの防壁となるわけでもないから、休息を取る上でも見張りは必要になる。

 それでも休憩を取らないとパフォーマンスに響いてしまうから、ある程度のタイミングでこうして休むのだ。


 休息を取る以外にも休む理由は、主にトイレだ。

 トイレは最悪外でする手もあるけれど、やはり恥ずかしいものは恥ずかしい。

 それだけじゃなく、僕たちにはトイレが近くなる理由がある。

 それは魔力を回復する秘薬や魔力回復薬が飲み薬……つまり水分に由来しているからだ。

 こういうときにスタックできる男は便利だけど、我慢していると身体に毒なことには変わりない。

 一応魔法で直接たまっている便意を取り除く方法もあるのだが、あまり連発すると身体がおしっこなどをする機能が退化してしまうかもしれないからやめるようにと注意されてしまったことがある。


清浄(クリーン)

「ありがとうございます」


 お風呂についてはエルーちゃんに任せれば出来なくはないが、流石にこんな状況でお風呂を湧かしてもらって入っているわけにはいかない。

 それに一番問題なのはお手洗いでもお風呂でもない。


「ソラさま……もうがまん、できません……。私の邪な心を清めていただけませんか……?」

「汚すの間違いじゃない……?」

「とんでもございません。便器はむしろ私の方で……」

「なんてこと言い出すのっ!?」


 お手洗いの話は引きずらなくていいんだよ、エルーちゃんは。


「お揃いの下着だし……さては初めから狙ってたね?」


 馬乗りになったときにちらりと見えたものが気になって問いただした。

 僕の下着を決めるのはエルーちゃんだって話は以前したと思うけど、エルーちゃんの下着は自分で決めるか僕に意見を求めるかの二択だ。

 基本的に夜着る下着は僕に見られるつもりで、僕と一緒に選んだものであった。


「ペアルックの下着でするって、私達だからこそできる素敵な下着披露宴ではございませんか?」


 そして最近では下着の色で意思表示をしてくるまでになってきたのだ。


「水色の時はお任せ、ピンクの時はあまあま、そして紫の時は確か……」

「は、激しいやつで、お願いします……」


 きっと時間効率を考えて最短で終わらせようとしたのだろうけど、こんな時くらいストイックに考えなくてもいいのにな……。


「もぉー、欲しがり屋さんめ♥️」

「んっ……」


 歴代で邪神に挑もうとした人は僕たちしかいないだろうけど、こんな()()()をしながら魔境を突破しようとした珍回答者は歴代でもゲームでも間違いなく僕達だけだろう。

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