第三章『花畑の少女』までの登場モンスター
※お話には直接関係の無い、どうでも良い設定なので
読み飛ばしても本筋の理解には全く影響はありませんのでご安心を。
第三章『草原の少女』までの登場モンスター
ルカ・ファステロンのノートより
モンスターの特徴と対策、駆除経費見積算出用資料。
・イーターライオン(環境保全庁による危険度判定 ⅡからⅢ)
※通常駆除依頼の相場:一匹あたり三〇〇〇~五〇〇〇。
※駆除にかかる平均時間:一日(一匹・段取り込み、事前調査別)
※特殊な道具薬品等:重量物運搬費等が発生
※対応しうるメンバー:全員可
(但し二名組、ルカ+クリシャの組み合わせは不可)
巨大なアリジゴク。最大で直径五m、深さ三mの
巣を作る。
亜種は意外に多く帝国内でも五種を数える。
本種の本体は約一m、大顎の長さ約40センチ。
人間が落ちた場合自分の背丈より高い巣からの自力での脱出は不可能。
岩場でも岩石や鉱石を砂へと還元して強引に巣を作る。
名前の通りビレジイーターを好んで補食するが、おおよそ巣に落ちる生き物
は全て補食対象
蟻地獄ならばカゲロウになって空を飛ぶのだが
この種類はこの姿が成獣で、幼虫の内に空を飛んで補食対象が多い
と思われる場所で羽を落とす。
交尾は既に幼虫の時点で終えているのがモンスターたる所以。
十分に栄養をつけた後、卵を産みそのまま死ぬ。
但し寿命は幼虫で一年半、成獣になると10年以上生きるものもざら。
オスが成獣になる事はほぼ無い。
また二,三キロであれば成獣となっても場所を移動する事がある。
つまりあの姿で陸上を移動することが出来る。
種類によって体長が二mを超えるものもある。
帝国固有種のジャックナイフ・ジャンボライオンはその前足が鋭利な刃物様に
なっており、大顎も丸太でさえ噛み切るので油断すると危険。
特に死骸は売り物には成らず、食べる部分も無いので処理業者に一体
二〇〇から五〇〇程度で処理依頼をする。
但しジャックナイフ系に限っては、大きな個体なら前足が一本二〇〇前後で
売れるので後の加工がしやすいように、切りとる場合なるべく第一関節まで
は残した方が良い。
水をかけて砂を固めると極端に動きが鈍る。小石や砂利を纏めて巣穴に
入れるのも同様の効果があるが時間がたつと砂に還元されてしまうので
作業時間には注意。
火は無効なのでその点も考慮する。
人足、荷車代などが発生するので駆除依頼発生時は経費を確認し、
この辺りの経費は別途にして貰えるよう必ず交渉すること。
・キラービートル(環境保全庁による危険度判定 ⅠからⅡ)
※通常駆除依頼の相場:一匹あたり二〇〇〇~五〇〇〇。
※駆除にかかる平均時間:半日(一匹・段取り込み、事前調査別)
※特殊な道具薬品等:通常の殺虫剤が有効。特殊注射器他
※対応しうるメンバー:クリシャ以外。
火を吐く巨大なカブトムシ。力は強いがほぼ大きな虫、と考えて良い。
但しこれはリジェクタであるから言えることで、一般にはかなり厄介な
モンスターである。
死骸は剥製として加工すると結構な高値が付くので、緊急依頼以外の時は
必ず業者に連絡を取り、死骸を引き取らせること。
相場はオス八千、メス三千だが、状態や大きさによっては大幅に上乗せに
なる場合もある。
硬い外骨格に守られているので通常の打撃や切断は無効で魔法も効果がない。
但し関節部分には有効なのでそこを狙って傷を付けない様に
切りとってしまうか一般的な殺虫剤をねじ込むのが非常に効果的。
空を飛ぶときには通常の甲虫類と同じく羽を開くので、その時は腹を狙えば
弓や槍、投石器も使える。
ジャイアントワーム(環境保全庁による危険度判定 Ⅰ)
※通常駆除依頼の相場:一匹あたり一〇〇~五〇〇。
※駆除にかかる平均時間:約半日(一匹・段取り込み、事前調査別)
※特殊な道具薬品等:無し
※対応しうるメンバー:全員
五十cmから最大では六mを超える巨大な芋虫。
種類としては十種を超えるが事実上皆同じ。
なにかの幼虫のようではあるが実はこれで成獣。
但し、ほぼ見た目は変わらないがキラービートルの幼虫である場合もある。
この場合はマニアに売ることが出来るので、良く見極めた上で状況によって
殺さずに捕獲する事も考える。
野菜を食い荒らし、畑を穴だらけにし、農民に噛みつくが、逆に言えば
被害はこの程度であるのでリジェクタに依頼がかかること自体希。
身体は柔らかく、基本的には戦闘力はほぼ無いのだが生命力が強く、
頭が残っていると数日で再生することもあるので頭は完全に破壊し、
間違い無く死んだのを確認すること。
死骸は一応食べる事が出来る。また発酵させればかなり良い肥料になるので
無償ではあるが農家に引き取ってもらう方向で交渉する。
リジェクタに依頼が出るときは依頼主がスピード解決を望んでいるか、
もしくは複数発生したか、三m以上の個体であるかのどれかである。
五匹以上の大量発生の場合は、必ず基本料金+駆除数の出来高払い
であることを確認すること。
大型の場合は死体の運搬等の経費も割高に成るのでそこも契約時注意。
・ゴブリン(環境保全庁による危険度判定 Ⅳ)
※通常駆除依頼の相場:一匹あたり五〇〇〇~。
※駆除にかかる平均時間:二~三日(群れ単位)
※特殊な道具薬品等:通常の武器、防具で良い。
※対応しうるメンバー:初めはターニャ、クリシャが交渉に立つ。
悪知恵の働く妖精。身長、成体で約七〇cm。
身体の大きさや住む場所によって複数の亜種が存在。
インテリジェントモンスターの中では愚鈍な方として
分類されるが、モンスターとしてなら頭の回転はトップクラス。
個体によってはリジェクタを言い負かす程のものも居るらしい。
ターニャの名前は彼らも知っていることが大半なので彼女を前面に
押し出し、交渉決裂の際は私とロミ君で一気にカタを付ける、と言う
やり方が現状では最善か?
駆除の規模によってはヴァーン商会へ応援を頼む方が結果的に
安く上がる場合もあるのでケースバイケースで考慮する。
身体は小さいが力は強く、人間用の武器防具を何事も無く扱うので注意が必要。
だが、一方で一般的なイメージとは裏腹にあまり荒事を好まない。
一つの群れは家族単位である事が多く、三〇から五〇匹前後が一般的。
もめ事になるときは大概人間側が“家族”を殺してしまったときが多い。
意外にも素早く器用なので戦闘は極力避けるに越したことは無いが
一方剣を使ってくるならば私とロミ君で、二十匹前後なら簡単に
たたき伏せる事が出来る。
剣士では無く、剣を使う敵。と言う部分を誤解しなければ素人の人間相手
よりも数倍容易い。
・フェアリィ(環境保全庁による危険度判定 -)
※通常購入の相場:一匹あたり350,000~。(登録費用別)
※購入にかかる時間:約2週間(飼い主の適性検査、飼育申請込み)
※特殊な条件:捕獲免許はヴァーン商会のみが保有
※対応しうるメンバー:リアン子爵令嬢
身長約二十五cm~三十cm。見た目は背中にトンボやカゲロウのような
羽を生やした十四,五才の少女。
身体の大きさや羽の形でピクシィ他、数種の亜種が存在。
三十年程度は普通に生きるが、見た目の成長は人間で言う大人と子供の中間
思春期の少女で止まるので、見た目と年齢は合致しないことの方が多い。
フェアリー種は女性しか存在しない。
群れの中でも年長のものが“お姉様”として全体を仕切る。
スカイブルーやピンクなど人間ではあり得ない色の髪を長く伸ばしている
ことが多いが、あまり複雑に編み込んでいることは無い。
薄手のワンピースを着ていることが多く、このような“軽い"格好が
好きなようだ。
MRM議長とヴァーン商会会頭双方のサインが無いと捕獲は禁止。
妖精が自分でついてきた場合であっても申請が必要となる。
頭の悪そうな話し方をする一方、実はそんなに頭が悪いわけでは無く
精神年齢もかなり高いので話をする場合は見た目と話し方に
引きずられないように注意が必要。
彼らは人間のしきたりや風俗に疎いだけなのであってバカでは無い。
事実お嬢様の愛玩用として引き取られたうちの約半数は、その主人たる
お嬢様の家業を手伝い、参謀のような立ち位置に納まっているとされる。
但し、精神的には弱い個体が多く、好奇心だけで群生地を出た
個体は一ヶ月を待たずに死にいたることが大半。
飼育環境の花畑が必要。も実は必須では無いが精神が落ち着く、と言うのは
本当であるらしい。
飼い主とのマッチング作業は簡単に殺さないために必要なのである。
・ピクシィ(環境保全庁による危険度判定 -)
※通常購入の相場:場合に寄るが、最低二,〇〇〇,〇〇〇~(登録費用別)
※購入にかかる時間:場合による
※特殊な道具薬品等:※見るだけでも幸運とされるほど個体数が少ない
※対応しうるメンバー:
あまり難しく物事を考えない傾向のあるフェアリィ亜種にあって他の種族や
モンスター全体のことまで考えるほどの高い知能と思慮の深さを誇る。
当事務所のパムリィは、種族としてのフェアリィ全体に対する事実上の長にあたる。
数こそ一般的なフェアリィの1/100程度だが、身体が強く、
頭もフェアリィより数段良い。
パムリィに限って言えば本気で問答になった場合、恐らく私や所長では勝てない。
見た目はフェアリィに準ずるが身体の大きさはその半分程度で
約一二cmから一五cm。
長生きのものならほぼ人間と同じ、六〇才前後まで寿命があるらしい。
ちなみに当事務所のパムリィは齢一六であるそうだ。
人間界に出たものについてはほぼ自分の意思で外に出ており、
なにがしかの目的を持って、あえて影響力の大きい高級貴族の家を
狙って入り込んでいるものと思われる。
モンスターの生存権を犯さないことを条件に家業を手伝う形を
取るものが大半であるらしい。
MRMの把握している飼育者リストには軍人家系の家に飼われている
個体は居ない。
その中にあってもリジェクタ事務所に“就職"を希望したパムリィは
異質であり、それ故飼育許可証は発行されたが、通常発生するはずの
一般的に言う妖精の値段、コーディネート料は免除されている。
(むしろ当事務所からパムリィへの給金が発生している)
それを許したMRM議長や所長もまた、普通の感性では無いと思う。
※当事務所のパムリィは、妖精界、どころか陸棲のモンスター全てを
総べる女王でもあり、その影響力は絶大。であるらしいが現状では
それがなにを意味するのか、私には良く分からない。




