王子様
コーテッドの姿が確認できたらマンチカンは手、足首の縄をようやく解きだした。
リサは自由になった手で口に巻かれていたものを外していく。
コーテッドは余程急いで走って来てくれたのだろう・・・足を縺れさせながら側に来てくれたので、リサはヒシッとしがみ付いた。
「手を放してすまなかった」
リサは首を振り、コーテッドの温かさを感じていた。
ギュッとしがみ付くと、強く抱き返してくれる。
そうしているとやっと気持ちが落ち着いてきた。
人(動物も)はゆっくりと圧をかけられると落ち着くのだと本に書いてあったが、まさしくその通りだと感じていた。
「こ・わ・・かった」
心の底からでた言葉だった。
「無事で本当によかった。」
コーテッドも安堵していた。
「ところで、どうしてあなたはここに?」
コーテッドはマンチカンに事情を尋ねる。
食料の買い付けをしていたときに『使者』らしき人が連れて行かれそうになっているのを目撃した。それで後をつけて来て、使者を助けたという説明だった。
「ひとりにならないように、船に留まっておくように言っといたよね。」
「すまない、私の責任だ」
コーテッドは素直に謝った。
「またなんであんなところに出てたの?」
「少年が外に遊びに行きたそうにしていたのだ。それでつい・・・」
マンチカンは怒るのかと思いきや、フッと口をほころばせた。
とにかく!と言って立ち上がった。
「何事もなくて良かった。じゃあ、船に戻るとしますかー」
3人は外に出て、歩き出す。
コーテッドはずっとリサの手を握ってくれている。
『どうして私があそこにいるってわかったの?』
マンチカンに聞かれたくなくて結びを使う。
『聞こえたんだ・・・私を呼んだだろう・・・』
『うん、呼んだ』
あのとき強く心で思っていたことが、そのまま『結び』となってコーテッドに伝わっていたのだ。
『私、なんて言ってました?』
さっきは必死だったから色んなことが頭をぐるぐるしていて、正直何を考えていたのか思いだせない。
コーテッドは顔を真っ赤にしている。
だがちょうど夕日に顔が照らされているので、リサはそのことに気がつかないのだった。
「おーい、リサさま〜」
デグー少年がこちらに駆け寄ってきた。
「心配したんだぞー、本当に迷子になるなんて!何やってんだよ!」
「ごめん、ごめん」
リサは心配かけまいと、笑顔を作った。
「デグー、今日は楽しめた?」
「生まれてから今日がいっちばん楽しかったよ!」
なんてデグーが言ってくれるから、本当の笑顔が出てくる。
少年はリサの空いてるほうの手を握ってくれた。
「あっ、でもこの間サボれた日が一番かな・・・だってお菓子もらえたもん!」
子供らしい彼の話には裏表がない。
「そっか〜、お菓子美味しいもんね・・お菓子サイキョーだね」
少年はその言葉が気に入ったようで「お菓子サイキョー」と連呼している。
先ほどまであんなに怖かったのが嘘のようにリサは笑えていた。




