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言い争い


デグー少年はお礼にお菓子をもらって、満面の笑みで厨房へ帰って行った。


「しかし、驚いたな・・・あれじゃまるで刑務所じゃないか・・」

「兄上、ワンダの刑務所ではちゃんと食事は出ますよ。」


「私たちも危険特性の施設がそんな劣悪なところだと知りませんでした・・・」

ビーバーとヌートリアも初耳だったので、動揺が隠せない。


「こっちの世界には人権って言葉ないの!? 危険な特性があるってだけで親から引き離して連れ去るなんて誘拐と一緒じゃない!!」

リサは怒り心頭だった。

デグー少年が施設内でも、そんなに酷い扱いを受けていたと知ってショックだったからだ。


「君、そうは言うけどさー、施設の子達の生活費はどこから出ているか知ってるの?」

急にマンチカンはリサに突っかかってきた。

「税金でしょ! もしくは宗教関連からの寄付とかじゃないの!?」

「わかってるじゃない!ゲッシー国はそれだけ国家予算が逼迫してるんだってわからないの?」


「そ、そんなこと私に言われたって知るか!国の予算がないからって子供達をそんな劣悪な環境でずっと働かせるだなんて・・・」

リサだって国のお金がないなら、社会的弱者のところから予算が削られていくことなど頭ではわかっている。

だけど親元から有無を言わせず引っ張ってきて、1日たった1食で文句も言わせず働かせるのは、あまりにも非道過ぎるんじゃないかと言いたいのだ。


「だけど、危険特性とわかった子は大概差別の対象になるんだよ。僕はそんな子をたくさん知っている。村中のみんなに寄ってたかってなぶり殺しにされた子もいた。

子供の家族だって差別を受け、そのうち家族は子供を疎ましく思うようになる。だったら施設に入れてあげるほうがいいと思わない?」

「そ、そうかも知れないけど・・・あーもう、なんでこの世界には特性なんてものがあんのよ!」

そもそも特性なんてものがあるから、こんなことになっているのだ。

そんなものがない地球人のリサにはもどかしくて仕方ない。


「じゃあ、お前は施設の子供達が酷い目にあうのはしょうがないって言うのか!!」

リサへの当たりの強さに不機嫌になったコーテッドは珍しく強い口調になった。

「そこまでは言ってないよ。じゃあ君はワンダ王国の危険特性施設がどんな風に子供達を扱っているのか知ってるの?」


これは痛いところを突かれてしまった。

施設は王都にある。普段、ビタワンで暮らしているコーテッドは、そこには足を運んだことがなかったからだ。

「少なくともゲッシー国のような扱いはしていないはずだ。」

「ほら、アンタだって詳しくは知らないじゃないか!」

マンチカンは鼻で笑う。


そういうマンチカンも、とある人に国の危険特性施設の話を聞いてから自分でもいろいろと調べるようになったのだった。

ニャータはゲッシー国のような酷い扱いではないが、子供達が恵まれた環境にいるとはとても言い難かった。

だからこそワンダの人にも、そのことに気がついて欲しいと思っているのだ。


痛いところを突かれてコーテッドは俯いた。

自分が知らないだけでワンダ王国だってゲッシー国と似たり寄ったりかもしれないのだ。憶測でものを言うのはよくない。

「この一件が済んだら必ず視察に行く・・・」

コーテッドはそう言うしかなかったのだった。


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