推考
マンチカンは父のシャムからここまでの詳しい情報は聞いていなかったので心底驚いていた。
本当にこのビーバーがワンダの王子と婚姻関係を結んでいたなんて!!
「アンタ、よく殺されなかったな・・・」
思わず心の声が出てしまった。
女に見えるほどに見た目をそれほど変えられるなんて・・・なんて凄まじい否、おぞましい『化身』なんだろう。
「しかしどうやって特性を強化したんだ?」
「『吸収』と『付加』を両方持つ者なら可能だろう・・・という結論になった。」
コーテッドが答えた。
『吸収』は学習や技術の飲み込みの早い者が持っている特性である。
そんなに珍しい特性ではないのだが、ごく稀に人の特性を『吸収』してしまう者がいる。
『付加』はどちらかと言うと、ハズレ特性だと皆に認識されている。
あってもそんなに何があるというわけではない。
だけど人の特性を吸収できる者が『付加』を持っていれば、人から特性を吸収しそれを第三者に付加すれば特性を強化させることができるという訳だ。
「てことは、施設の子供たちを利用していたのか・・・」
「間違いないと思う」
今度はラブラが答えた。
このペット大陸では危険特性の子供達は国が保護するというのが暗黙のルールだ。
国によって危険特性の範囲や、いくつまで保護するのかなど細かな決まり事は色々と違う。
だがその保護されるべき子供たちに犯罪の片棒を担がせるようなことを、ゲッシー国では国の管理下で行われていたことになるのだ。
「ゲッシー国の保護施設で使えそうな子供を用いて犯罪を起こしたんだろう。」
マンチカンが頭の中で考えていたのと同じことをコーテッドも口にした。
「うへぇ、反吐が出るようなことするんだね」
マンチカンは心底軽蔑するという感じで吐き捨てるように言った。
「きっと『亜目教』のヤマアラシが企んだことに違いありません。カピバラ王は決して施設の子供たちを利用するような、そのような非道な人ではありません!」
ゲッシーのことを悪く言われビーバーは黙っていられなくなったらしい。
「誰も国王のことを責めている訳ではないよ。」
そう優しく声をかけたのはマンチマンだった。
その言葉でリサは益々この男のことがわからなくなる。
彼を見ているとあちらも視線に気がついたようでこちらを見た。
「そういえば『使者様』が仲良くしている厨房の少年。彼はゲッシー国の危険特性の施設にいたんだってね。」
「あ、そうです。デグーって子なんですけど・・『邪念』があったせいで施設にいたそうです。」
「あー、あの男の子!」
握手会のときは必ず付き添っているラブラもすぐにピンときたのだった。




