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それぞれのおもい


ワンダのみんなが帰った数日後、リサたちもニャータを出立した。

かなり長い旅になるらしい。

目立たないように少人数での移動だ。

リサは商人が使うような幌付き馬車を用意してもらい、そこで寝転がれるように沢山のクッションを敷き詰めてもらった。

王配様のような腰痛にならない為と、エコノミー症候群の予防のためだ。


基本コーテッド、ラブラ、マンチカン、リサの4人で馬車に乗っているが、体勢が辛くなったら幌付きに移動するので、メンバーは流動的に変わっていく。


コーテッドとはあれから話せていない。

お互いが避けているような感じだった。


チワワとの会話を思い出していた。

彼女はリサとコーテッドに上手くいってほしいと思ってくれているのだろう。

なのにリサのあまりの弱腰にあきれたのだろう・・

リサ自身もどうしてこんなに臆病になっているのかわからないのだ。


「やっと二人きりになれた。」

そう話しかけてきたのはニャータ国のマンチカンだった。

「君、紹介してたとき僕のことやたらジロジロ見てたでしょ。もしかしてタイプ?」

そう言われて見れば、レトリバー兄弟はいなくて二人きりだった。


リサとマンチカンを二人きりにさせないようにしていたようだが、彼はいるのかいないのかわからないほど静かなので、レトリバー兄弟の警戒も緩んだようだ。


「いや、実は知り合いにそっくりだったので驚いて見てたんです。不躾でしたね・・すいません」

「別に謝らなくていいけど・・・それより君、僕のことタイプじゃないの?」


別人ではあるが親友の優ちゃんとそっくりの彼をそんな風には見れなかった。

「まあ、そうですね。」

「そっか〜、さんざん弄んで捨てるのが手っ取り早かったんだけど、ムリそうだね。」

リサはマンチカンの言葉に耳を疑った。


「え?」と聞き直そうとしたが、彼はもう話しかけないでくれとばかりに、こちらを見ようともせずに自分の世界に帰っていった。

今のは何だったんだろう・・・得体が知れないので、この人と二人きりになるのは避けようと思ったのだった。


あの湖の浮島以来、リサとコーテッドの様子がおかしいことを、ラブラはずっと気にしていた。

コーテッドの特性が消えていたので、二人の仲が進展したのかと思いきや、どちらかというとギクシャクしているようなのだ。

だがコーテッドの特性は今もまだ消えたままなので、何かがあったのだろうと邪推している。

『寒いから長い間、暖め合っていた』だけではないのかもしれない・・・


「コーテッド、リサと何かあった?」

「私が不甲斐ないばかりにフラれましたよ!」

どうしてリサが不安を口にしたときにすぐに答えられなかったのだろう・・とずっと後悔していた。

『お前としか結婚するつもりはない!』

そうきっぱり言えていれば、こんなことにはならなかったはずだ。

自棄になったコーテッドは、リサとの間に起きたことをラブラに話す。


「あー、そのことか・・・」

ラブラにとってはむしろ特性が消されることのほうが重要だ。

待つのはあまり気にならない。


「バカだな、嘘でもいいからいつまでも待っていると言えば良かったのに・・・」

「そうですが・・・ずっと待つことを考えると咄嗟に答えられなかったのです。」

「だがそれでリサが安心するなら言ってやるべきじゃないのか!」

兄のように平滑流暢にできれば、こんなに苦労することもないのだろうと、コーテッドは黙ってしまった。


コーテッドは石頭だから、純粋にリサを待ち続けるのだろう。

ラブラはそうなれば、息抜きのために他の女性と後腐れなく遊べば、少しは気も紛れるのにと考える。


「私は兄上とは違います、そんな他の女性とだなんて!!」

コーテッドは特性のせいで女性に(男性にも!)モテているんだろうが、相手が恐れ多いと思うのか、釣り合わないと思うのか浮いた話は今まで全くない。

だからそんなこと言われても、拒否反応しか出ないのだった。


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