意外な訪問者
出発の準備が整うまでは数日かかるらしい。
ラブラやコーテッドは王配様やシャム様たちと話し合いのようなことをしているようだが、リサは呼ばれていない。
コーテッドと顔を合わせづらかったのでちょうど良かったのだった。
またここからゲッシー国まで長期間馬車に乗ることになるので、部屋でストレッチをしていた。
体を動かしている方がまだ気が晴れるからだ。
ノックが聞こえ、リサはビクッとする。
ドアを開けるとそこにはチワワが立っていた。
「そんな明らさまにイヤそうな顔しないでよ!」
こちらのことなどおかまいなしに、ズカズカと入ってきた。
チワワたちは明日ワンダへ帰るそうだ。
「一体、どうしたんですか?」
「そのー、あれ、しばらく会うこともなさそうだから顔でも見ておこうかと思ったのよ!」
妙に塩らしいことを言うのでリサは面喰らった。
「そ、そうなんだ。ところでもう体調は大丈夫なの?」
湖に落ちたせいで、かなりの熱が出たと聞いていた。
「ええ、まあ・・・そう言うあなたこそどーなのよ!?」
リサは逆に心配されてしまった。
一体チワワはどうしたんだろう・・・
リサのことは『居なくていい人、ライバル、目障り』の三拍子なのだろうと思っていた。
なのにわざわざ訪ねてくるなんて、どういう風の吹き回しなんだろう??
余程、リサの顔に不審感が出ていたのだろう。
「ちょっとは、あなたのことを『空からの使者』として認めてあげようかと思ったのよ。」
チワワは気持ちをぶっちゃけた。
彼女がいなかったらサモエド王子の命は危なかったと王配様から聞いていた。
その時はサモエド王子のことを別にどうも思ってなかったが、今となってはリサに感謝すべきだと考えたのだった。
チワワはあの恐ろしい目に遭ってから、少しずつではあるが変わってきているのだ。
自分の落ち度で王子を危険な目にあわせてしまった。
その上その王子に命を助けてもらい、更に責めるどころかチワワの罪を被ろうとしてくれたのだ。
王子の心の広さに感服したのだ。
上に立つ人とはこうも違うのだと実感させられた。
実際は、王子がチワワに想いを寄せているから優しいだけなのだが、そんなことなど知らないチワワは、それに比べて私は『いつも自分のことばかりだ・・・』とかなり落ち込んだ。
そこにラブラのとどめの一発が入った。
「王子に何かあったら国際問題にもなっていたでしょうね。」
そうここはニャータ国、隣国の王子が亡くなったとなれば、あらぬ邪推が立ち風評被害は免れないのだ。
これにはラブラも考えがあっての発言だ。
実はチワワに『判断』の特性が出てきていて、それをより強くするために言ったのだった。
あんなに強かった『弁解』はなくなりつつあった。
彼女はあの聡明なペギニーズ(スピッツ王子の妻)の妹なのだ。
だから伸びしろは必ずあるとラブラは踏んだ。
それにチワワもサモエド王子に惹かれだしたことに気がついていた。
両思いの二人(まだ何も始まっていないが・・)を引き裂くのはかわいそうだ。
王子の妻にふさわしい女性、まあチワワの場合は家柄、礼儀作法、美しさは申し分ないのだ。
後は思慮深さと謙虚さを身につければ良い。
それをカバーできるのが『判断』の特性だ。
性格は変わらないだろうから状況に応じて、謙虚そうに振舞ってくれればいいのだ。
そうすればコーテッドや他の皆もチワワを認めざるをえなくなるだろう。




