別荘にて5
「コーテッド様、すごく嬉しいです。」
そうリサは天にも昇る嬉しさだった。自分だってとてもコーテッドが好きだ。
地球に帰らされたときも、同じようにずっと想っていた。
だけど、付き合うとなるとしょっちゅうリサとコーテッドは触れ合うことになるだろう。だとするとコーテッドの特性は、別れるまでは全く使えないことになる。
それはサモエド王子よりも、リサを優先することになるのだ。
本当にコーテッドはそれでいいのだろうか?
今は気持ちが盛り上がっているからいいかも知れないが、その内サモエド王子への『従順』が惜しくなるのではないかと心配する。
「そんな先のことばかり考えるな!私の気持ちは変わらない!」
コーテッドはきっぱりとそう言い切ってくれた。
だが、不安は尽きない。
リサは本当にいつ地球に帰されるかわからないのだ。
これ以上深い関係になれば、その時が来たらもっともっと傷つくことになる。
お互いいつ会えるかわからない人をいつまでも待つことになるのだ。
しかも地球の1ヶ月がこちらでは1年というタイムラグがある。
だからリサが再びこちらに戻ってきた時に、コーテッドが別の誰かと結婚していることだってあるのだ。
「・・・・・・そんなわけないだろう・・・」
これにはさすがにコーテッドも歯切れが悪くなった。
1年でもあんなに辛かったのだ。
それが何年も何十年も続くことに耐えられるのだろうか・・・
リサはコーテッドには言わないがまだ杞憂なことがあった。
付き合うということは万が一にでも子供ができるということだ。
そうなると特性のない子が生まれるだろう。
そのことをコーテッドはどう思うだろう・・・レトリバー家はその子を認めてくれるだろうか。
本当に愚かだとは思うが先のことばかり考えてしまって、そこから囚われ動けない。
リサは考えれば考えるほど自分たちは上手くいかないのでは・・と勝手に決断してしまった。
コーテッドの気持ちが聞けただけで十分に幸せだ。
最期だからと、リサは欲を出した。
リサは顔を寄せるとコーテッドの唇に軽くキスをした。
「コーテッド様・・・私たちは・・今のままの方がいいと思います。」
コーテッドはリサの行動と言動が合致しないことに頭が混乱していた。
その時、誰かが何か言っているような声が聞こえてきた。
「おーい、リサー、コーテッドいるのかー?」
ラブラたちが助けに来てくれたのだった。
「ここにいます!」
リサはそう言ってコーテッドから離れた。
先ほどまで暖かかった半身は余計に肌寒く感じられた。
こうして二人は助けられ、何とかその日のうちに別荘に帰ってこれたのだった。
湖に落ちたサモエド王子とチワワ、夜に湖を往復したラブラ、寒いなか浮島にいたコーテッドとリサは、全員が次の日から仲良く風邪をひいて寝込んでしまい、そのまま休暇は終了となったのだった。




