別荘にて4
その頃、二人はと言うと、寒さに耐えていた。
昼とは違い、陽が落ちると急に冷えだしたのだ。
はじめは岩の周りをぐるぐる走ったりして、体を温めていたのだが、ここに来るまでに、かなり体力を使っていたのですぐに座り込んでしまった。
「このまま助けが来なかったら、ここで一晩過ごすことになるんですよねー。」
当たり前だとは思うがリサは確認せずにはいられない。
「そうだな。・・だが私たちが帰って来なければ必ず助けに来てくれるはずだ。」
コーテッドは心細そうなリサのためにそう言ったが、すっかり暗くなってしまった今日はもう難しいかも知れない。
二人になりたいとは願ったが、いきなり無人島で野宿は上級者向け過ぎる。
「リサ、寒いだろう・・こっちに来るか?」
「えっ・・・特性が消えてもいいの?」
「そんなもの、構わない。」
そんなものって・・・コーテッド様どーしちゃったんだろう・・・
いつも特性、特性とうるさかったのにどういう心境の変化?
リサは不審に思いながら、隣に座った。
少し空いた隙間を埋めるようにコーテッドが座り直した。
くっついた腕や足に体温が伝わってくると、寒さよりもそちらに意識がいってしまう。
『これは何かあるかもしれない・・』と期待と恥ずかしさから、リサはそわそわする。
落ち着かないリサは足を前に伸ばして、空を見上げた。
「あんなに星がたくさん見えるなんて・・・すごいきれい」
こっちの世界ではこんなに星が綺麗だということを知らなかった。
何だか今までもったいないことをしていたなと後悔する。
「本当だな。星など見るのはいつぶりだろう・・」
「もしかしたらこの星のなかに、私の故郷の星があるかも知れませんねー」
だとしたら面白いな〜と軽い気持ちでリサは言った。
「・・・リサは・・・故郷に帰りたいのか?」
コーテッドはやけにシリアスな声で訊いてきた。
「んん〜、帰りたいと言えば帰りたいし、今のままでもいいと言えば今のままでもいいかも」
地球で時が進んでないなら、ずっとこちらにいてもまたあのエレベーターからやり直しってことだ。いや、今回はベッドの上からか。
「だったら、ここに・・わ、わたしの側にいればいい」
「うん」
「そうか、いてくれるのか!」
暗がりの中、嬉しそうなコーテッドと目があった。
「だけど、勝手に帰される可能性があるんですよね〜」
あの時、地球に帰されたのは命の危険が迫っていたから?
それとも事件が一件落着したからなのだろうか?
コーテッドもまたリサが急にいなくなることについて考える。
サモエド王子が無罪になった今、まさに帰ってしまうのではないのだろうか。
このままこの寒いところで過ごして命の危険を感じたら帰ってしまうのでは・・そう思うとたまらなくなって、横からリサ抱きしめた。
「一晩中こうやって暖めておいてやる。だから帰るな。
お前がいないと私が困るんだ。だから帰らないでくれ!」
「どう困るの?」
リサは少し意地悪な質問をした。
「リサがいないと何をしていてもリサのことばかり考えてしまう。
本当はどこかにいるんじゃないか、またフッと現れるんじゃないかと気が気じゃなかった。
自分がこんなに、ダメな奴だと初めて知った・・・つまりだな・・・どーしようもなくリサが好きなんだ。」
「やっと言ってくれた」
リサは微笑んだ。
聞きたかったのは寂しかったではなく、好きという気持ちだったからだ。




