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別荘にて


女王陛下からの返事の書簡が来るまで、話し合いができないので、まとまった休みがもらえた。


ニャータからの計らいで、国王の所有する湖の別荘でのんびり過ごさせてもらっている。

王配様は腰が痛いからと留守番で、チワワは当たり前のように付いてきた。


少し高台にある建物からの眺めは素晴らしい。

別荘にはここの執事がいて、甲斐甲斐しく世話をしてくれるので、食事もホスピタリティも抜群だ。

ワンダの面々はつかの間の休息を楽しんでいた。


「久しぶりにこんなにのんびりさせてもらった気がします。」

リサはこちらの世界に来てから『空からの使者』のプレッシャーで緊張していたのと、慣れない馬車移動のお陰でかなり疲れていた。

「確かにねー。」

ラブラも連日の特性の使いすぎで疲れていた。

サモエド王子も、晴れて自由の身になってからの外出でくつろいでいる。

コーテッドも緊張が解けてだらーんとしていた。


「いつまでこんなだらだらと過ごすつもりですか!

こんなに天気もいいことですし、湖に行きましょうよ! ほら、立って!立って!」


チワワは強引にニャータに付いてきたのはいいが、特に目立った活躍もできていなかったので、ここに来て張り切っていた。

『他所の国でのバカンスなどもう二度とないかもしれない!』

彼女のもったいない精神は遺憾なく発揮され、皆は重い腰を上げさせられた。


きっと海外旅行に行ったら予定を詰め込みすぎるタイプだな。

文句を言ったら『折角来たんだから!』を盾に人を動かしそうだな〜。

一緒に旅行はしたくないな・・・とリサは思っていた。


チワワはテキパキと舟の手配や、外で食べるようの食事の準備などの指示を出している。

そんな姿を見て、リサは前言撤回で、こういう人がいると充実した旅行になりそうと思っていた。


上から見るよりも湖は大きく、透き通っていて美しかった。


チワワはコーテッドと乗る気満々だったのだが、サモエド王子に「ご一緒していただけませんか?」と誘われたのだった。

王子からの申し出を無下にもできないので、二人は一艘の舟に乗ることになった。


そうなると残りの3人で乗るかと思いきや、ラブラは溺れかけたことがあるからと舟に乗ることを嫌がった。

だからコーテッドとリサは二人で乗ることになった。


チワワは『恨んでやる〜』とばかりにリサを睨んでいる。

「お前も泳げないだろう!」

ラブラはコーテッドを引き止めようとしていた。


コーテッドはようやく巡ってきたチャンスに喜んでいた。

サモエド王子の心配がなくなってからも、兄がいつもリサのそばにいるのでなかなか二人きりになることができなかったからだ。


チワワが乗った舟はサモエド王子が漕いで進みだした。

そしてリサが乗った舟はコーテッドが漕ぐ・・・のかと思いきや、リサは別にオールを用意してもらって、一緒に漕ぐ気マンマンだ。

「どーして、お前まで漕ぐんだ!」

「いや、だって・・・」

コーテッド様ってなんかドジそうなんだもん!とは、さすがに面と向かって言えない。

「一緒に漕いだ方がきっと楽しいですよ。」

誤魔化すようにリサは笑いかけた。


だから二人は向かい合わせに座らず、進んでいく方に一人ずつ背を向けて座っている。


そんな二人を岸で見ているラブラは『競技かよ!』と大爆笑し、あんなに必死にコーテッドに乗るなと引き止める必要はなかったなーと、ちょっと安心したのだった。


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