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兄弟


ビーバーとメインクーンこと本名ヌートリアはゲッシー国に仕えていた。

度重なるニャータの侵攻で防衛に力を使いすぎ、国は人力も財政もガタガタになった。

その上、寒波による不作で食料不足に陥り、国民の不満は膨れ上がっていた。


カピバラ国王は優しい人物で、こんなことになってしまった国のことをとても憂いていた。

だが国王はとてつもなく優柔不断な性格で、挙がってくる政策にはどれもイエス、反対意見が出たらノーを言うので、なかなか物事が決まらないのだった。

『自分がいると何も決まらない・・』と議会でも段々と消極的になっていった。

思いつめた国王は自分を追い詰めてしまい、心の病に罹ってしまった。


それでも、酷くなった国のために何かしたいと思った国王は、国民のために祈ろうと国教である『亜目教』に入れ込むようになる。

国王は純粋な気持ちから始めたことなのに、『亜目教』の最高権力者であるヤマアラシが色んなことを国王に吹き込み、段々とおかしなことになりだしたのだった。


「『空からの使者』どうかカピバラ王をお助け下さい!私の命はどうなっても構いません。」

ビーバーは使者の力は本物だと信じていたのでお願いをした。

もとよりゲッシー国を出た時から死は覚悟していた。

今まで殺されなかったのが不思議なくらいなのだ。


「私からもお願いします。」

弟のヌートリアも声を上げた。

亡くなったと諦めていた兄にも最後に会うことができた。

カピバラ王の力になってくれるのなら、今ここで命を取られても構わない。

二人の忠誠心は本物だった。


「この二人を・・グスン・・何とかしてやってくれないか・・・ズズーッ。」

ニャータの国王はぼろぼろ泣いていた。

自分自身が国王という立場にあって、こんなにも想ってくれている臣下がいることに、深く感銘を受けていた。

国王の後ろに控えている取り巻き連中も絶賛男泣き中だ。

先ほどから鼻をすする音ばかりが響いている。


国王の意思を汲んでシャムが口を開いた。

「実は暗殺は失敗に終わったので、父のアビシニアンは生きています。」

ヌートリアがその言葉で安堵の表情を浮かべたことを、みんなは見ていた。


「でしたら、弟の命は助けてやってください。私が失敗をしたから弟は無理にこんなことをやらされたんです。」


捕まっている弟を見て一番驚いたのはビーバーだった。

きっと脅されて計画に参加させられたのだろうと察しがついた。

同じ特性を持つ弟は利用のしがいがあったのだろう。


「いえ、私も兄と一緒に処罰を受けます。ですから、どうかゲッシー国にはこれ以上のお咎めはないようにお願いします。」


二人の兄弟愛と国を憂う気持ちに、鼻をすする音がますます大きくなっていた。


そんな中、ひとり冷静に物事を見ていたラブラが話し出す。

「とりあえず、ワンダはこのビーバーの処遇と、今後について皆で話し合うことにします。ですからニャータもヌートリアの処遇と今後のことを話し合ってください。」


こうして後日また話し合うことに決まったのだった。


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