絆
ラブラは仕方なくビーバーを呼んでもらうことにした。
「この方を知りませんか?」
彼を見てもメインクーンの感情は緊張だけで、動揺は現れなかった。
もしかして知り合いではないのか?と、一抹の不安が押し寄せる。
だがそれは杞憂だった。
横にいたビーバーの感情は大揺れだったからだ。
今度はビーバーにも同じ質問をしてみる。
「そんなやつ、知るわけないだろう!」
「そうですか・・・」
ラブラはリサにビーバーに触れるよう指示を出した。
ビーバーはいつになく抵抗したが、衛兵に押さえられているので意味のないことだった。
ビーバーが素顔をさらしたとたん、メインクーンは「ああ!」と大声を上げた。
縛られた後ろ手でビーバーが合図を送ったので、それに気がついたメインクーンはすぐに口を押さえた。
先程までとは違いメインクーンにも濃い動揺が出てきた。
「何を驚いているのですか?」
ラブラは畳み掛ける。
「お、男の顔が急に変わったから驚いたんです。」
「こちらの顔にも見覚えがありますか?」
「ありません」とメインクーンは答えた。
「彼は重罪人なので、死刑が決まっているのです。
それでは今から刑を執行しましょう。
あなたにも手伝ってもらってよろしいですか。」
その言葉にメインクーンは唇をわななかせている。
「実に簡単なことですよ、あなたが椅子を倒せば彼の刑は実行されるのです。」
恐ろしさでメインクーンは涙を流していた。
「どうして泣くのですか?
この男のせいでニャータとワンダがもう少しで戦争になるところだったんですよ。
そんなことになれば何千何万もの人が亡くなるんですよ。
あなただって戦場で殺されていたかもしれない・・・もしくは何人もの人を殺していたかもしれない。
たかだかこの男一人ぐらいの命、どうってことないでしょう。」
ラブラは淡々と説明をした。
ビーバーの顔には布袋が掛けられ、人を吊るせるような高い装置が運ばれてきた。
「わ、わたしにはできません」
メインクーンはか細い声で言った。
「そうですか、じゃあそこで刑が執行させるのを見ていてください。」
ラブラは非情にもそう言う。
その間にもビーバーは椅子に上らされ、首にロープが巻かれていく。
「やめてください、その人を殺さないでください。」
メインクーンはラブラに縋り付いた。
「先ほどの話を聞いていましたか?彼は重罪人ですよ!殺されて当たり前でしょう!」
「だ、だったら・・・私にも罰を与えて下さい。」
「ん?それはどういうことですか?」
ラブラが聞き直す。
ビーバーはその言葉に動揺して椅子から転げ落ちてしまった。
「兄さん!!大丈夫ですか。」
メインクーンはビーバーに駆け寄った。
そう二人は兄弟だったのだ。




