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張込み


国王はノリノリで、囚人が着ていそうなぼろぼろの服に着替えた。

取り巻きの屈強軍団は、牢に降りる階段近くの、目立たないところで待機している。


ラブラのはじめの計画は、チャウもどきことビーバーを牢に入れて、やってきたメインクーンとの会話から、何か決定的なことを聞けるのではないかと期待して作られたものだった。

だが国王が「オレがビーバーに変装する」と言って張り切り出したのだった。

国王も振り上げた拳の持って行き場がなくて、消化不良だったようだ。


シャムとアビシニアンにも頼まれたのでこちらが折れた。

サモエド王子の無罪は確定したことだし、メインクーンのことはニャータ国の問題なのでこちらも強くは言えない。


シャム様はすぐに鑑定持ちに、メインクーンの特性『化身』『変化』を確認させた。

ついでに彼が最近、門番として雇った者であることもわかった。

経歴を調べたら、本物のメインクーンという若者が郊外で生活していることもわかった。つまり経歴を詐称していたことになる。


これで詰んだ!

後は今夜、この牢にビーバーを訪ねてやって来るのを待つだけだ。


「囚人っぽく見えるか?」

エラくガタイのいいビーバーの出来上がりだが、牢で膝をかかえて座っていたらそれらしく見えてくる。

「そうしていたら、大丈夫ですよ。」

「おお、そうか!」

国王は一番わくわくしていた。

ラブラ、コーテッド、リサはほとんど何も見えないようなところで肩を寄せ合ってその時を待っていた。


ところが待てど暮らせどメインクーンは現れない。

『今夜来なかったら、どーなるの?』

リサは素朴な疑問を二人に結びで問いかけた。

『『明日も同じように待つんだ。』待つことになるね。』

時間差で同じ答えが返ってきて、リサはやっぱりそうかと苦笑いする。


国王もあんなに張り切っていたのに、今は鼾をかいて眠っている。

ベッドに横になって堂々と寝てるのでは?とラブラとコーテッドは心配していた。


コーテッドは国王の鼾がうるさくて、これでは人の足音は聞こえなさそうだなと考えていると、肩に重みを感じた。

リサがうとうとしているのだ。

ぶつかっては起き、ぶつかっては起きを繰り返している。

何だかかわいそうになって頭を引き寄せ、肩のところに着地させてあげた。

『コー・・さま、ありがとー』

律義に結びでお礼を言っている。


コーテッドは兄ではなくこちらにもたれ掛かってきたのが嬉しくて、しばし優越感に浸っていた。

だがしばらくすると重いし、ゆらゆらと動いているのも鬱陶しいし、体制を変えると起こしてしまいそうで動くこともできなくてとても困っていた。

それでも・・・リサがここにいるということが何事にも代えがたいと思い、じっと我慢をしていた。


どのくらい経っただろう・・・もうこの地下にも薄っすら光が差し込み、朝が近づいているようだった。

今日は諦めようと兄に声をかけようとしたとき、カツカツと地下に降りてくる足音が聞こえてきたのだ。


ラブラも眠っていたようで、コーテッドに何度か叩かれてようやく気がついた。

目を凝らせばここにいることがバレそうだったのだが、明るい外から来た人には幸いにも気づかれなかったようだ。

牢屋を端から端に移動し、ここにしか人がいないとわかると、国王の前で立ち止まった。

「おい、おい」

小声で話しかけるも、国王は返答しない。まだ眠っているのだろうか?

「おーい!起きてください。」

ようやく起きた国王は人がいることに気がつき本来の目的を思い出す。

「メインクーンか?」

その言葉で『罠だ』と気づいたメインクーンは階段に向かって走り出す。だがラブラ、コーテッド、リサの3人に行く手を阻まれ捕まったのだった。



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