捜索
重鎮のアビシニアンが生きていたことは、すぐに国王に知らされた。
国王が自ら邸宅にまで足を運び、お見舞いに来たのだった。
その場はすぐに秘密の会議となった。
息子のシャムから一連の話を聞いたアビシニアンは、サモエド王子の確認をしなくても、すぐにワンダではなく第三のどこかの仕業だとの判断をした。
アビシニアンは、今のまま自分が生きていることは秘密裏にしておくようにとシャムに言いつけた。
国王にも犯人が見つかるまでは、ワンダに攻め込む準備をして、向こうに計画通りにことが運んでいると思わせるように頼んだ。
王宮にいる『鑑定』持ちも総出で、『化身』『変化』に特化した者を捜すようと言いおく。
「しかし『空からの使者』とは驚きだな・・・」
ワンダで王権が取られていたら、向こうからこちらに攻めてきた可能性もあったのかと、考えるとアビシニアンは身震いが出た。
それを、防いでくれただけでも有り難い。
その上こちらでもサモエド王子の命を守り、自身も助けられたのだ。
もはや偶然で片付けられるようなものではなかった。
アビシニアンが生きていたことで、国王はすぐにサモエド王子の軟禁を解こうとしたのだが、ラブラの提言で、見張りの者はそのまま置いておくことにしたのだった。
ワンダとニャータはまだ緊張状態だと思わせておくほうが良い・・・重鎮のアビシニアンと同じ考えだった。
国王はラブラの頭の良さに舌を巻いたのだった。
そのラブラは朝から城下へ出て真犯人捜しをしている。
「一緒に来たのはいいけど、何のお役にも立てなくてすいません。」
リサはそう言いながらアツアツなものを美味しそうにほおばる。
「言葉のわりに楽しんでいるようにみえるけど・・」
「来たからには楽しまないともったいないじゃないですか!」
ラブラは一人で捜すのも退屈だからとリサを誘った。
サモエド王子のことも一件落着したし、折角、遠くまで来たのだからと、リサは旅行気分で付いてきた。
「コーテッド様見てください! ほら、バカでかいねずみが走ってますわ!」
そうしたらコーテッドが付いてきて、そしたらチワワも付いてきたのだった。
日がな1日、たくさんのお店で賑わっているこの大広場で過ごしている。
「兄上、このようなところでのんびり過ごしていて犯人は見つかるのですか?」
コーテッドには重鎮のアビシニアンが生きていたことも、サモエド王子が自由の身になっていることも知らされていない。
情報が漏れるのを恐れて、秘密は最小限に留めているのだ。
「こういうところにいると、色んな人が絶え間なく来るだろう。」
そう言いながらラブラはせわしなく視線を動かしている。
「なるほどー、ここだと町中の人が来そうですもんね。」
警察官が指名手配の顔を覚えて大きなターミナル駅とかでずっと見張ると聞いたことあった。それと一緒だ。
「ラブラ様って、頭いいですねー。」
リサは次は何を食べようか物色している。
ラブラが褒められて、コーテッドは不満気な顔をするが、鑑定が使えるのはラブラだけなのでどうしようもないのだった。
日が傾きかけたころ、ラブラは特性の使いすぎでいつものように頭が痛くなってきた。
リサは感情が読めないので、側にいても疲れないのだがあとの2人が問題だった。
チワワには『コーテッドと仲良くなるぞ!の『積極』』
コーテッドには『もう勘弁してくれよ!の『困惑』』が張り付いていて、視界にちらちらと入ってきて笑えてくるのだ。
その上この2人『美』まであるから、とにかく目出つのだ。
明日は何が何でも、この2人は連れてこないようにしようとラブラは思いつつ、その日は諦めたのだった。




