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大勝負


次の日

ラブラとした打ち合わせを頭の中で再度確認しながら、シャムとプードルに付き添われて、リサは国王の待つ部屋へと向かう。


国王はまさしく強さでこの座に就いているだけあって、背が高く、筋骨隆々で、眼光も鋭く、威圧感を放っていた。

その側近たちも負けず劣らずの体躯で、部屋が薄暗く感じられるぐらいの人の壁を作り出していた。


しばらく、お互い黙ったまま見つめ合う。

これは私から自己紹介しないといけないのかな?と考えていると、シャムが話し出してくれた。


「国王様、こちらはワンダに現れた『空からの使者』で『シクラ アリサ』殿です。」

「ああ、そうか・・」

それだけ言うと再び取り巻き連中と話し出したのだ。

「あの」とシャムが話しかけると、もうその話はいいと言う感じで手をヒラヒラさせた。


強くもなさそうだし、美女でもないし、ただならぬ空気を纏っているわけでもない。

リサを一目見ただけで、国王は真価をわかったような気でいた。


昨夜、ラブラに言われたことを思い出す。

「肝心なことはリサに興味を持つかどうかだと思う。」

ここが正念場だとリサは口を開いた。

「ニャータの国王はこの国で一番強いそうですね。この中で明らかに王よりも力が弱い者を一名お選び下さい。私がその者をあなたに勝たせてみせましょう!」

「何だと・・・」

王はギロリと睨んできた。

怖い・・・でもワンダの女王が激キレしてたほうが怖かったよな〜とリサはひるまない。

「自信がないのですか?」

国王はリサを睨みならがら「いいだろう」と答えた。


リサはルールを説明する。

勝負は腕相撲、対戦相手は王様に決めてもらう。

ただし、勝負中はリサは王様の体のどこかに触れる。

もしこちらが勝ったら、きちんとこちらの言い分を聞くこと。


「こちらが勝ったらどうするんだ?」

「サ、サモエド王子の処罰を行っても構いません。」

自分で言っておきながら、リサは恐ろしくて体中が震えだした。

何も考えるな、ラブラのことを信じろ!きっと上手くいく!


「ハハハ、それはいい。では勝負と参ろう!」

勝てばサモエドの刑をいますぐに執行できると、国王は急にやる気を出す。

相手があまりに弱い者でもつまらないと、そこそこ強い(でも絶対に勝てる)者を選んだ。

若手の有望株で、今の調子で鍛えれば将来は国王になれそうな男だ。


二人はコンソールテーブルのようなところで手を組み合い、シャムの合図で勝負をすることとなった。

リサは国王の近くまで行き、利き手と反対の前腕の辺りを握った。

「では、はじめ!」


何と若者があっさりと勝ってしまったのだ。

勝った方も、負けた方も何が起こったのだと驚いている!


国王の取り巻きたちが文句を言い出した。

「今のは練習だろ!こ、これから本番だ!」

国王もそうだと言わんばかりに再び体勢を作っている。


「では、はじめ!」

だがさっきと全く同じだった。国王はあっさりと負けてしまった。

あまりのことに、皆何と言っていいのか困っている。

「あ、あの女が何かしているに違いない!」

いちゃもんをつけ出してきた。


特性を消して目に見えて効果がわかる人・・・それが国王だったのだ。

国王は力に関する特性が『腕力』『屈強』『万夫不当』と3つも付いていた。

そこでラブラは国王が皆の前で負けるようにすれば、リサのことを認めるのではないかと考えたのだった。


ある程度は触れていたから、しばらく特性は使えないだろうとリサは国王から手を放す。

「だったらこれでもう一度勝負してはいかがですか?」


困ったのは対戦相手の若者だ。

まさか国王ともあろう方がこんなにも弱いとは思わないので段々と力を抜いているのだが、どうしても自分が勝ってしまうのだ。


次の勝負で王様はやっと勝てた!

取り巻きの皆はほっと胸をなでおろした。

リサはもう効果が切れてしまったのかと呆然とする。


「俺の負けだ・・・」

国王は腰を折った。

最後、若者は一切の力を入れることなく勝負したのだった。

国王はそれに気がつき完敗をみとめたのだった。


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