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シャム


一方、ニャータ国では暗殺された重鎮の息子であり、プードルの夫であるシャムが、苦しい立場に立たされていた。


父は暗殺未遂に終わったので、実は一命は取り留めていたのだ。

まだまだ油断はできないので、国王やみんなには秘密にしてある。

生きていると判ればまた命を狙われるかもしれないので、偽の葬儀もあげたのだ。ワンダ出身の妻にも知らせていない。


現国王は腕力もさることながら、そればかりではなく頭のほうも悪くなかった。

亡くなったとされる父が、この国を治めているのことも重々理解していたようで、尊敬の念を抱いていたようだ。


だからこそ暗殺されたとわかってから、蜂起させようとする行動がはやかった。


「こんな屈辱を受けたままでいいのか!今こそワンダに攻めこむべきだ!」

国王の言葉によりみんながひとつの目標に向かっているのを、何とか引き留めているのだ。


大国同士がぶつかったら、信じられないぐらいの被害がでる。

それこそ安寧を望んでいた父が何よりも嫌がっていたことだ!


そこでワンダ出身のプードルに、父を暗殺しようとしたサモエドを連行してくるように頼んだ。

もし自国に帰っていなくても、こんな大事件を起こした者をワンダは探し出してでも、こちらに差し出すはずだ。

この件に女王が絡んでいるのかはわからない。

だが王子一人の責任にすれば、大戦は何とか避けられるのだ。

実行犯を連れてくれば、みんなの溜飲も少しは下がるだろうと考えたのだった。


「プードル様はなかなかお帰りになりませんな・・・」

「まさかプードル様・・・いやあなたが、なかなか退かない父親を討つためにワンダに頼んだのではあるまいな!」


少し前まで、同じように執務に励んでいた仲間にも、そんなことを言われている。

「先日、ワンダを発ったようなのでもうすぐ帰って来ます。」

父が居なくなって、一番困っているのはシャム自身であるというのに、今後の不安からなのか、みんなの当たりは強い。


妻のプードルからは、ワンダを出立すると書簡が来た。

それによるとサモエドは捕まえたらしいのだが、ここに来ていたのが偽者だと書いてあるのだ。

しかもワンダでも偽者騒ぎがあり、王権を取られそうになるぐらいの大事件が起こっていたと、書いてあったのだ。


今は他国のことなどに構っている暇はない。

ワンダのことはワンダでやってくれ、と言う感じた。

とにかくこちらは、犯人のサモエド王子さえ連れて来てくれればそれでいいのだ。

シャムはプードル達が到着するのを、今か今かと待っているのだった。



その一行は順調にニャータに近づいていた。


さすがの長旅で疲れが見えてきていたが、リサたちが乗った馬車では楽しげな会話をしていた。

ラブラはリサの前に座り、顔を眺めながらリサの国について色々と質問をしていた。


チワワはチャンスとばかりにコーテッドに色々と話しかける。

だがコーテッドもリサの国については興味があるので、チワワの話にはうわの空だ。


そのうちにチワワまでもがそちらの話に興味を持ち始め、リサはみんなから色々と質問攻めにあっているのだ。


リサの国では移動手段として、空を飛ぶ乗り物まであるというのだから、驚きを隠せない。

チワワは特にリサが話して聞かせる食べ物の数々が、垂涎もので夢中になったのだった。


一方で、ニャータに近づくにつれて、日に日にサモエド王子の不安は濃くなり、王配やプードルの慰めの言葉も全く耳に入らないのだった。



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