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本物の魅了


王宮ではみんながコーテッドの帰りを待っていた。

サモエド王子を無罪にできるような証拠を、持ってきてくれると信じていた。


10日ほど前、女王の妹であるプードルは、サモエド本人と対面を果たした。


「はじめまして叔母さん、第三王子のサモエドです。」

彼は冤罪をかけられているにも関わらず、にこやかに笑って挨拶をしてくれた。


本物のサモエドの『魅了』はかなり強いので、視線を引き寄せる力がすごいのである。

それに何だか彼はキラキラしていて人好きさせる。

顔は似ていたが、似て非なるものだった。

ニャータに来ていた人物は別人だと言わざるをえない。


「ね・・姉さん、どーしよー!これって私も罪に問われるんじゃない!」


きちんと確認もしないで、国の中枢に不審者を入れたことになる。

プードルは自身も処罰の対象になるのでは・・・と真っ青になっている。


「いいえ、これは仕組まれた罠だと思います!」

女王はこの国で起こった一連の出来事を、妹に話して聞かせる。


パグのこと、後継者の証が盗まれ、それを持ってチャウとシバがやってきたこと。

暗示をかけられて、もうちょっとで玉座が渡ってしまいそうだったこと。


「そんな大変なことになってたの?!」


プードルも決して国際問題には疎い方では無い。

特に出身地であるワンダのことは、ずっと気にかけていた。

この国で何かがあれば、夫が真っ先に教えてくれるはずだ。

でも話さなかったということは、この異変はニャータも知らなかったということなのだろう。


「驚くのはまだよ!!

この一連の出来事で捕まった者たちは全員がニャータの人たちだったのよ!!」

女王は事を荒立てなくなかったので、ニャータには今回のことを黙っていたのだ。


プードルは驚きのあまり言葉がでない!!

では夫が私に話さなかったのは、ニャータがこの国を内部から瓦解させようとしていたということなの!

だからワンダ出身の私には、黙っていたということなのだろうか?!


妹の表情から、考えていることがわかった女王は、安心させようと続きを話す。


「でも私は一連の出来事の犯人は、ニャータ国ではないと思うの。

偽者をおくりこんで事件を起こさせるやり口が、そちらと同じだと思わない?」


確かにそうかもしれないとプードルも思う。

「だったら誰が犯人なの?」

「それは私にもまだわからないわ。」


だがこの話を、ニャータの皆が信じてくれるかどうかはまた別の話だ。

プードル様は、ワンダの方ですからと庇ってるのでしょうと、冷たくあしらわれそうだ。


でも本物のサモエドを見れば、あの者が偽者だということは、すぐに気付いてもらえるだろう。

それに、あの紹介状もちゃんと保管している。

ワンダのことを説明し、巧妙に仕組まれた罠だと説明すれば、信じてもらえるかもしれないと、プードルは考えていた。



やましいことなど何もないサモエド王子は、普通の部屋に軟禁され、その部屋の前をニャータの者達が見張っていた。


「あなたがニャータに行かないと、プードルの身が危ないのです。」

女王は息子にお願いをしに来ていた。

息子のことはとても心配だが、妹も心配だった。

ここを離れ他所の国に嫁いだあの子は、今まで頼れる人も少なく苦労をしたことだろう。

そう思うとできるだけ力になってあげたかった。


「僕が行って丸く治まるなら行きますよ。」

女王は母の顔に戻るとお礼を言い、本当にどれだけサモエド王子のことを大事に思っているかを話している。


「母上のお気持ちはわかっていますよ。」

安心させようとそう言ったものの、容疑者として他の国に行くのは、心細いものがあった。


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