抱擁
その夜ベッドに潜って色んなことを考えているうちに、アリサは眠ってしまった。
だが、突然の振動に驚いて目を覚ました!
布団の中に身を潜ませ体を縮める。
浮遊しているような、落下しているような感覚に恐ろしくてギュッと目を瞑った。
ドッシーーーン!
派手な音がして、ベッドから弾き落とされたリサは勢いよくお尻を打った。
一体、何?と見回したら、そこには驚いてこちらを見ているコーテッドがいたのだった!!
幽霊でも見ているような顔のコーテッドは、リサに駆け寄るといきなり強く抱きしめた!
まさか、いきなりの抱擁!!
でもすごくすごく嬉しい。
特性が消えるとわかっていても、そんなものがなんだ!という感じで情熱的に抱きしめられた。
あのとき、私の気持ちは伝わっていたんだ!
「リサ、リサ、リサ」
コーテッドは何度も確認するように名前を呼んでいる。
これはもう告白からのキス、でそれから・・・・・の展開になっちゃうのかしら!?
リサはコーテッドの腕の中で妄想を膨らませていた。
「サ、サ」
「サ」って何?
「ス」じゃないの! スキの「ス」!
「サ、サモエド王子が捕まってしまったんだっ!!リサ、助けて欲しい!」
な、なんだそれー!!!
リサが盛大なツッコミをいれたときだった。
いきなりドアがバタンと開いた。
「さっきの大きな音はなんですか?!まあ、たいへん不審者がいるわ!
誰か、誰かー!来てくださーーい!!」
コーテッドの体越しにひょいとそちらを見ると、溌剌とした金髪の美少女がいた。
彼女はつかつかとこちらにやってきて、コーテッドとリサをベリベリッと引き剥がした。
「コーテッド様、大丈夫ですか?」
「チワワ様か、私は大丈夫だ。」
「でも、恐怖のあまり涙を流していらっしゃるではないですか!」
彼女はこちらに向かって威嚇する。
「無礼者!どこから侵入したのですか!!ここはお前のようなものが来るところではありません!シッシッ」
ええーーー、何なの!この展開!
この子、顔はかわいいのに何て気が強いの。
何て言い返したらいいのか考えているときだった。
騎士の皆がドドーッと部屋にやってきた。
「そいつ・・・その者です!はやく、捕まえなさい!!そらグズグズすんなー!」
両側から腕をつかまれ、連れて行かれそうになっているところに現れたのは、ベビーフェイスマッチョことピンシャーさんだった!
「彼女は不審者ではない!手を放すんだ!!」
強気金髪も黙ってはいない。
「どういうことですか、ピンシャー! 不審者と知り合いなんですか!」
恐妻家のピンシャーは、嫁を彷彿とさせるその物言いに思わず怯んでしまう。
そこへやってきたのはデーンだった。
「リサ、リサじゃないの?!やっと帰ってきてくれたんだねー!」
デーンも駆け寄ってきて、熱くリサを抱きしめてくれた。
感極まって泣いていたコーテッドも、ようやく落ち着きを取り戻したのだった。




