邂逅
ラブラ、コーテッド、リサの3人は信頼できる兵長に用意してもらった兵服に着替え、城内をマルチーズの部屋を目指して歩いていた。
この城は女性の衛兵も多いので、リサも怪しまれることなく廊下を進んでいた。
『何だか秘密任務みたいで緊張しますね〜、お二人さん聞こえますか?オーバー』
無線気分で2人に結びを使い声をかけた。
『確かにドキドキするね〜』
『くらだんこと言ってないで集中しろ!』
全く別々のこたえが返ってきた。
「おい、そこの一団!!」
急に声を掛けられてビクッとする。
声をかけてきた男は、見知った兵長がいるとわかると態度を変えた。
「お疲れ様です。新人研修っすかー。
チャウ様とシバ様がここを通りますので、面倒だからどこかの部屋に隠れているほうがいいっすよ。」
どうやらシバは城内でかなり嫌われているようだ。
虫の居所が悪いと、衛兵に当たり散らしたりすることもあるようで、通るときには誰もいなくなるように、衛兵同士で結託しているらしい。
近くの使われていない部屋へ移動し、身を隠す。
しばらくすると、遠くの方から話し声が聞こえてきたので、3人は窓からそーっと様子を伺う。
真っ先に気がついたのはリサだった。
「うわーっ、ちょちょちょ、あのあじさんですよ!!」
パグ様としてこの国にいたおじさんが堂々と城内を歩いているのである。
「あのおじさんって、チャウ様のこと知ってるのか?」
コーテッドは初めて見る顔だった。
あの時、一瞬だけ見たパグの元の顔を覚えているわけがなかった。
ラブラも牢屋に居たとき、チャウ様が錠をはめにきたのは知っていたが、気絶したフリをしていたので、顔を見るのは初めてだった。
肖像画でしか見たことのないチャウ様に、よーく見知った特性が付いていることに驚いていた。
そのとき、ちょうど廊下を通過していたシバとラブラはバッチリ目が合ってしまった。
ラブラはすぐに視線を逸らしたが少し遅かったようだ。
「てめぇー、あのときのー!」
そう言いながらシバは部屋に入ってくるなり、ラブラの胸ぐらを掴みにかかる。
コーテッドと兵長は慌てて止めに入った。
何事かとチャウも続いて部屋に入ってきた。
『この人、元パグ様ですよ!!』
結びで声をかけるも、あちらは揉めていて全く気が付いていない。
私が触れれば、すぐにもとに戻るんだよねと、リサはチャウ様の手をガシッと両手で握った。
突然、手を握られたチャウは掴んできた者を確認する。
見覚えのある顔とその行為に焦る。
「放せ、放せー!」
チャウはリサの手を振りほどこうとじたばたし、無理だとわかると空いている方の手で、指を一本一本外しにかかってきた。
リサの手がだんだん放されそうになっていく。
「はやくー、こっち見てください!!」
こちらに注目するよう大声で叫んだ。
異変に気がつき、みんながこちらを見た。
チャウはすかさず助けを求める。
「シバ、この女を捕まえてくれ!」
「おまえは誰だーーー!!」
そう声を上げたのはシバその人だった。
彼はチャウ様の姿しか知らなかったので、本当にこの人だあれ?という感じなのだ。
「おい、不審者がいるぞ! 捕まえろ!」
と逆にチャウを追い込んでしまう。
衛兵たちがどこからともなく手伝いにわらわらとやってきた。
ラブラが結びで話しかけてきた。
『リサ、この騒ぎの間にコーテッドと一緒にマルチーズ様のところに行ってくれ。
そして皆の『暗示』を解いてきて欲しい。』
『ラブラ様は?』
『俺がいなくなったらこいつが黙っていないだろう。お願いだ、一刻も早く頼む!』
『わ、わかりました。後で必ず助けに行きますね!』
結びでの会話を知らないコーテッドの腕を掴むと、リサ達はそーっと見つからなようにその場を後にしたのだった。
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