内内の会議 −3−
その日の夜、レトリバー三兄弟とリサは祝杯をあげていた。
「マルチーズ様が立ち直られてほんっとうに良かった!」
長兄のゴールデンは心の底からホッとしていた。
その証拠にこれを言うのはもう3回目だ。
気持ち良くお酒を飲んで、ご機嫌だった。
会議のはじめ
マルチーズ王子は合わせる顔がないとずっと俯いたままだった。
その消極的な姿を苦々しい顔でラブラは見ていた。
マルチーズ王子の特性『大胆』は消えそうなぐらいに弱くなっていた。
スピッツ王子はそんな兄に『後継者の証』を差し出したが、「私にはそんな資格はない」と頑なに受け取りを拒否した。
それでもスピッツはマルチーズ王子を熱心に説得をした。
その場にいた全員がマルチーズに自信を取り戻してもらおうと必死だった。
でも王子はなかなか首を縦に振らない。
しまいには「お前がなればいいだろう」と弟に言い放ってしまった。
それに腹を立てたのがペギニース様だ。
立ち上がり側まで行くと、マルチーズ王子を引っ叩いた。
「いい加減に目を覚ましなさい!
あなたの後ろにはこの国の全ての民がいるのですよ!」
ペギニーズはマルチーズ王子の今までの苦悩も、スピッツ王子の心労も知っていたので黙ってはいられなかった。
場はシンと静まり返る。
誰もがマルチーズ王子が口を開くのを待っていた。
そんな中、なんと口を開いたのはサモエド王子だった。
「そんなに兄上達が引き受けないのでしたら、僕がなります!」
突然の宣言に皆が驚いてサモエド王子を見ていた。
先ほどの消えた婚約話のことで、王子の中の何かが変わったのだろうか。
「それで、皇太子というのは何をすればいいのですか?」
サモエド王子はキラキラと目を輝かせてこちらを見ていた。
マルチーズはその言葉でハッと我に返る。
母上が国王になってからずっと皇太子をやってきた。
だが、政権はもちろん陛下達が握っている。
そんな自分は今まで言われたことを、ただこなしてきただけではないか。
皇太子として自ら何かしなければと動いたことがあっただろうか・・・
それなら各領地を治めている弟たちのほうが、色々と熟考し、ときには苦渋の選択をしたりしているのではないだろうか。
皇太子である自分はただ地位が高いだけで、未だ両親の傍にいて守ってもらっている。
皆の中で一番何もしていないではないのか!?
その上、婚約寸前までいったペギニーズにまで叱咤され、目を覚ましてもらうなど私は何て情けないんだ。
王子はやっと顔を上げ前を向いた。
こんなままで言い訳がない!!
「ありがとう、みんな・・・ようやく目が覚めたよ。
スピッツそれにペギニーズ、サモエド」
マルチーズ王子は1人1人と目を合わせた。
「みんなのお陰で私はこの国の皇太子だったことを思い出せたよ。」
このようにしてマルチーズ王子はまた後継者としてやっていくことになったのだ。
証も特別にもう一つ用意してくれるらしいし、今まで通りに戻ったのだ。
めでたしめでたしとなった。
余程今日のことが嬉しかったのだろう。
お酒がすすんだゴールデンはいつの間にやらその場で眠ってしまった。




