秘密
早急にリサに会いたいと父から連絡がきた。
父の心情はわかる。
物騒なことが起こった後なので、降って湧いたリサのことを実際に見て判断したいのだろう。
「もう、何か隠しているようなことはないな!」
フォローするのはコーテッドなので、後からぽろぽろ秘密が出てくると困るのだ。
「・・・・・」
リサはじっとこちらを見ていた。
その顔はとても不安そうだった。
「怒らないから話してみなさい。」
コーテッドは優しく言った。
「何だかおかあさんみたい・・・」
心配してやっているのにとムッとしたが、黙って口を開くのを待つ。
リサは意を決して話し出した。
ここではない別の世界から来たのだと言う。
そんな奇想天外なこと、俄かには信じられない。
「証拠と言われても困るんですけど・・・信じるか信じないかはあなた次第です。」
コーテッドは大きなため息をついた。
長く時間を一緒に過ごしたので思い当たることは無くはない。
でもこんな話、信じられるわけもない。
それを信じると『空からの使者』だということも妙に現実味を帯びてくることになる。
コーテッドは伝承の人というのは、もっとこう神秘的な感じなのだと思っていたのだ。
だからリサのように口が立ち、すぐに人に触れたりするような世俗的な人だとは、どうしても思えないのであった。
父に嘘をつくのは大変心苦しかったが、リサには『結び』で指示した通りに話してもらったので、何とか怪しまれることはなくやり過ごせた。
話が済みリサが退出すると、変わりに長兄のゴールデンが入ってきた。
息子二人を前にし、父が口を開いた。
「今日、子爵と話をした。」
どうやら昔チャウ様を担ぎあげようとしていた連中がよからぬことを企んでいるということだ。
「これを」と言って取り出したのはチャウ様本人からの手紙だった。
そこには亡くなったオーナー4世には実は息子がいたこと。
その子を国王に祭り上げようとしている計画があること。
そのために後継者の証を手に入れようと躍起になっていることが書いてあった。
「では子爵はその一派なのですね?」
兄が確認をする。
だが父は首を振った。
「子爵はチャウ様のこの手紙を確実に私に届けるために、わざと事件を起こしたのだ。」
「ですがこんな人騒がせなことをしなくても、頼まれれば私から父上に届けたのに。」
コーテッドは子爵にそんなに信用されていなかったのか、と不服そう言った。
「頼まれた手紙をお前が自らここまで持ってくるか?誰かに頼むだろう?」
「それは・・・」
サモエド様を放っておいて、一人で王都に来るなど有りえない。
言葉に詰まったコーテッドを見て父は続けた。
「そういうことだ。そして同時に警告もしてくれた。」
後継者の証は承った人に管理責任がある。
だから盗まれたりしたら、その地点で後継者として失格になるという訳だ。
今回は強盗未遂で終わったが、いつ誰がどんな手段を使ってくるかわからない。
今後こういうことがないように細心の注意を払わなくてはならない。
数日後には次男のスピッツ様もラブラ兄さんも来るから、今後のことをきちんと話し合おうということになった。




