6話目
今回ちょっと短めですm(_ _)m
基本的にレティシアとお父様が揃うと、のんびりが加速します。
そのまま、さぁ行こうかという感じの流れになったのだが、そこへ私の専属メイドであるコラリーがやって来てにっこりと微笑んでお父様を見つめる。
「旦那様、お嬢様のお召し替えをしますので、外でお待ちください」
有無を言わせぬ笑顔のコラリーに、お父様は「あ、あぁ」と頷いて、私をコラリーへ渡してから少し早足で部屋を出ていった。
危ない危ない。コラリーに止められなきゃ、パジャマで出かけるところだったよ。
「コラリー、おはよう」
「おはようございます、レティお嬢様。本日もとてもお可愛らしいです」
うんうん。コラリーは本日も通常運転のようだ。
猫耳をピコピコさせながら私の身支度をしてくれてるコラリーは、毎朝とても幸せそうだ。
私も大好きなコラリーが笑顔なので嬉しい。
コラリーを見つめてニマニマしていた私だったが、ふと抱いた違和感に思わず「あれ?」と小さく声に出してしまう。
「レティお嬢様? どうかされましたか?」
当然コラリーには聞こえない訳もなく。
コラリーは首を傾げて心配そうに私の顔を覗き込んでくる。
そんなコラリーを見つめながら、私は違和感の理由を確かめるため、ふんすと気合を入れて仁王立ちをしてみせる。
「コラリー、そこにまっすぐたってみて」
「はい」
少し不思議そうな表情をしながらも、私の言葉に従ってくれたコラリー。その服装は仕事中なので当然メイド服姿だ。
我が家のメイド服は、もえもえきゅーんなメイドさんタイプではなく、ロングスカートなクラシカルなメイド服である。
どちらかといえばふんわり清楚に見られそうなメイド服だが、シゴデキなコラリーの立ち姿は、ビシッとしていて格好良い。
そんなコラリーの姿を猫耳の先から爪先まで眺めた私は、やっと違和感の正体に気付く。
「ねぇ、コラリー。コラリーのふくって、みんなとおなじだよね?」
「はい、レティお嬢様。わたくしは支給された制服を着ておりますので、皆と同じです」
やはり、そうだった。
コラリーを見て感じた違和感。
それは──。
昨日のメイドさん……つまりは植木鉢を持って歩いていたメイドさんのメイド服は、我が家のメイド服と少し違っていた。
並べんでみてもらわないと何処と何処が違うとかはっきり言えないが、コラリーのメイド服と違っていたのは確かだ。
つまり…………どういう事だろう。
あのメイドさんは、適当なメイド服を着て潜り込んだ人?
でも、我が家は意外とセキュリティがしっかりしているので、そんな不審者は侵入出来ないと思う。
「さま……レティお嬢様っ」
「へ? な、なに、コラリー」
考え込んでいたら突然コラリーから大きめの声で呼ばれ、驚いた私は軽くどもりながらコラリーを見上げて首を傾げてみせる。
「先ほどから、旦那様がお呼びに……」
「あ……わすれてた! ごめんなさい、おとーさま。ありがとう、コラリー」
ちなみに考え込んでいる間に、コラリーの手によって私は夜着から動きやすいワンピース姿へと着替えさせてもらっていた。
少し寝癖のあったかもしれない髪も、きちんと梳いてもらってある。
とてとてとお父様の元へと歩いていく最中に、
[ワタシもついて行くから!]
「わふん!」
と姿を現した萌黄がふわふわと飛んで来て私の肩へ着地し、セレストはわふわふと言いながら私の横にぴったりと付いてきてくれている。
お父様はセレストには目線を向けたけれど、萌黄の方は全く見る様子はない。
やっぱり萌黄の事はお父様でも見えず、声も聞こえてないみたい。
「おとーさまにもみえてないんだね」
私の肩に座っている萌黄に小声でコソッと話しかけると、当然でしょと言わんばかりのドヤ顔しているが、可愛いばかりで不快感は全くないどころか、微笑ましさに笑いそうになってしまって口元を引き結ぶ。
萌黄本人はあの木の妖精だって言ってたけれど、萌黄本人の記憶がないからこの世界での立ち位置がわからない。
あとで書斎へ行って調べてみよう。
その内容によっては、私の家族になら姿を見せても大丈夫と萌黄に言ってあげたいし。
「レティ? 緊張してるのかい? 大丈夫だよ、私が隣にいるからね」
考え込みながら歩いていたら緊張してると思われてしまい、お父様から抱き上げられてしまう。
「おとーさま、わたし、あるけるよ?」
「レティに何かあった時に、この方が安全だろう?」
優しく笑ったお父様がそんな言葉と共に頬へ口づけてくれるが、五歳児の移動速度だと時間かかっちゃうから、正直私からも抱っこを頼もうか少し悩んでたところだ。
「くぅん……」
私が抱っこされて距離が出来てしまったせいで、セレストが寂しそうに鼻を鳴らしていて心が痛むが致し方ない。
セレストがもうちょっと大きくなったら、背中に乗せてもらって移動も可能かもしれないけど。
目指す姿は某もののけのお姫様だ。
一つ問題なのは一応貴族令嬢に分類される私がやっても…………乗馬の親戚みたいなものだから良いよね、たぶん。
くぅんくぅんと鳴きながらついてくるセレストを見下ろして、安心させるように笑いかけながら、考えていたのはそんなどうでも良い事だったりする。
でも外から見ると……。
「怖がらなくて大丈夫だよ。レティはただ顔を見るだけで良いんだ。そうしたら、私の耳元で小声で教えてくれればいい」
今度は怖がっていると思われたようだ。
心配してくれているお父様には申し訳ないが、私はそこまで繊細な神経はしていない。
「はい、おとーさま」
にこりと笑って頷く程度の空気は読むけどね。
──この時、私は捨てるはずだった植木鉢を私へ渡しちゃったメイドさんを見つけだして、やんわりと『この子が我儘を言ったようだが、次は先に私へ話を〜』とか注意するんだと思っていた。
もちろんそれを言うのはお父様であって、私はメイドさんに「わがままいってごめんなさい」するつもりだった。
そのつもりだったのに……。
「おとーさま、ここにはわたしのしってるメイドさんたちしかいません」
どうやら、すんなりといかないようだ。
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