147 変わりゆく価値観
こんにちは。
第136回でお話した内容とも多少かぶるかと思いますが、今回はちょっと衝撃を受けたこともあって、再度こちらへ書かせていただくことにしました。よろしかったらお付き合いください。
年度末が近づいてきたこの時期、新しい本を購入する作業はどこの学校図書館でもほぼ終了していると思います。卒業する生徒たちへ貸出カードを返却する作業などもありますが、この時期は私はやっぱり書架の整理とともに除籍する本の検討をすることが多いです。
そんな中で最近こんな本を見つけてしまい、ちょっと困惑したので書いてみようかと。
前回驚いたのは料理本でしたが、今回のそれは美術書、それも油絵の描き方を詳しく指南するシリーズものの専門書でした。今回は紹介する内容が内容だけにタイトル等は控えさせていただきますが、初版年が1990年だったことはお知らせしておきます。
そもそも大人向けのシリーズ本のようではあるのですが、人物デッサンの本の中には多数の(数十枚単位)女性ヌードモデルの白黒写真が載せられていました。男性モデルのものは一枚もありません。まず、これだけでも男女の不均衡を感じざるを得ませんね。
そうだろうなと思って著者を見ると、数名いる著者はいずれも男性名。さもありなん。
まあここまでは「90年代の美術界なんてそんなものだったよね」という感じではありましたが(それもどうかと思いますが・苦笑)もう少し中味を読んでみていたところ、さらに衝撃を受ける文章が。
その部分は風景画について書いた文章だったのですが、モチーフとなるテーマと背景について書いた部分でした。
文章のタイトルは「絵画は貞淑な妻を好む」というもの。いくつかある章につけられたサブタイトルが「バックは内助の功であるべきだ」「でしゃばる女は嫌われる」というもの。
これを見ただけでも、令和の時代を生きる人たちはあまりの男女差別発言に唖然とするのではないでしょうか。
要するに、この筆者は「主題」を夫に、「バック」を妻に譬えて話をしているわけです。そうして、「バック」である「妻」は出しゃばらせてはならない、主役である夫を邪魔させてはいけないと説いている。まあ言いたいことはわかるのですが、ここでなぜそんな下世話なたとえ話を引っ張りださねばならなかったのかが、甚だ疑問です。
そもそも分厚くてやや難しい内容の本で、過去のほとんどの中学生は手にとった形跡もなかったので、目にした子はほとんどいなかったと思われるのが救いですが。もしも女子中学生がこれを見たら不愉快に感じることは間違いないだろうなと思いました。
あまりにも価値観が古すぎますよね。昔はこんな文章を恥ずかしげもなく公開して頒布しても当然とされ、世間にも普通に受け入れられていたのだなあと思うと頭痛がしてきました。
いやもう、本当に驚きました。
公共図書館に置かれているのは問題ないでしょうけれども、少なくとも今の時代を生き、これからの未来を歩んでゆく中学生がいる学校図書館にはふさわしくないということで、除籍のリストに追加することになりました。もちろん、大量のヌード写真も(もちろん美術の世界では当然と言われるでしょうが)学校という場ではちょっと問題ありますしね(苦笑)。
ということで、その理由もつけた上で除籍リストを管理職の先生へお渡ししてきたところです。恐らく了承していただけると思いますが、さてどうでしょう(笑)。
ではでは、今回はこのあたりで。





