134 「三体」
こんにちは。
今回は生徒さんからのリクエストで入れた本のご紹介。
とはいえ、ちょっと前に世界的に話題にもなっていた中国発の壮大なSF作品ということで、ご存じの方のほうが多いかと思いますが……。
恥ずかしながらわたくしは未読だったもので、今回リクエストが入ってよい機会だったので拝読したというわけです。
とはいえ、まだ1巻のみ読了しただけなのですが……それでも「これは凄い!」と思える作品。
〇「三体」
劉 慈欣(リュウ・ジキン/リウ・ツーシン)・著
大森望、光吉さくら、ワン・チャイ・訳 / 立原透耶・監修
早川書房(文庫版2024)(単行本は2019年)
このあと、続刊として「三体Ⅱ 黒暗森林」「三体Ⅲ 死神永生」があり、さらに「三体0(ゼロ) 球状閃電」があるとのこと。
翻訳者・大森望氏によるあとがきでは、中国ではこの作品が出るまでSFは子どものもの……といったような見方が大勢を占めていたそうなのですが、この作品が世に出たことで状況ががらりと変わったのだそうで。
特に世界最大のSF賞とも言われるヒューゴー賞をとったことは、アジア初の快挙だったそうです。
さてさて。
生徒さんリクエストで入れてはみたものの、これは……かなり読みこなすのが大変! という印象でした。
なにしろ冒頭が文化大革命。そこで葉文潔という若い女性が文革に巻き込まれて物理学者の父が拷問によって亡くなるのを目撃する……というかなりショッキングなシーンから始まります。ここが重い。重いし、文化大革命そのものが、いまの日本の若い人には恐らくピンとは来ない歴史上の出来事でしょうし。
さらには、出てくる物理の知識、説明もなかなか読みこなすのが大変。
でも、そういう色々なことがあったとしても、やっぱり面白い作品です。
物語はそこから一気に数十年飛んで、主人公がナノテク素材の研究者・汪淼に変わります。彼を襲う、謎に満ちた不可解な現象。それは、彼が趣味とする写真に不気味なカウントダウンの数字が表れたこと。妻や子が撮った写真にはその数字はうつりこまず、やがて彼自身の目の中にまでその数字が見え始め……。
半分気が狂いそうになりながら、その原因を探そうとする汪。
そんな中、科学者たちがつぎつぎと謎の死を遂げはじめて……。
やがて、とあるつながりから彼は謎のVRゲーム『三体』をプレイすることになるのでしたが、またそれが、それはそれは不思議な世界観のゲームで。
……というここまでは本当に物語の冒頭に過ぎないのですが、このVRゲームのところから一気に物語に引き込まれる感じがありました。
もちろん冒頭に出てきた葉文潔も、この『三体』と大きな係わりをもっているわけです。彼女の目的とは? 「三体」の驚くべき真実とは……?? これはもうみなさまがご自身でお読みになることをお勧めします。
そういえばあのバラク・オバマ元アメリカ大統領もこちらの作品を絶賛していたというのは有名なお話だそうで。
本当に壮大な物語。そして実は結構怖いです。オカルティックな怖さではなく、科学者たちの透徹した物事への観察眼、判断力の一端を垣間見たような気分になる物語。
中学生が読んでどこまで理解できるのか……は人によるような気もしますが、傑作であることは間違いないですし、SF好きなら一度は読んでおきたい本ではないかと思いました(とか言いながら今頃読んでいるわけですが・汗)。
ではでは、今回はこのあたりで。





