126 「ナゲキバト」
こんにちは。
今回はこちらの本のご紹介です。
ちょっと久しぶりに物語に戻ってまいりました。
こちらもまた、このところの(私個人の?)流行により、新改訂の東京書籍中学国語の教科書で紹介されている本です。
〇「ナゲキバト」
ラリー・バークダル・著 / 片岡しのぶ・訳 / あすなろ書房(2006)
なお私が読んだものは「新装改訂版」となっていまして、巻末にある翻訳家の片岡しのぶ氏による文章を見ると、2006年の時点ですでに翻訳してから10年が過ぎていたようです。
アメリカ本国では、こちらの本は最初自費出版で出されたものだったようです。それが、宣伝もほとんどしないうちに、この本に感動した人々の口伝えによって噂が広がり、やがて大手出版社から出版され直したという逸話のある物語。ちょっとあの「ドラゴンライダー」シリーズを思い出すような流れですね。
さてさて。
ということで、いつものように物語を少しだけご紹介しましょう。
舞台はアメリカ・アイダホ州ボイジ。
九歳のときに、父と母を急な自動車事故で亡くした少年、ハニバル。彼はアイダホに住む祖父に引き取られ、祖父とふたりきりの生活を始めます。
祖父はモップやブラシの行商人をして生計を立てている人で、田舎の人らしく無骨なきびしい面もありつつ、非常に誠実で心のあたたかい人でした。
ハニバルはすぐにこのおじいさんが好きになります。
とはいえ、ハニバルはやんちゃ盛りで冒険好きな少年。なんやかやといたずらや失敗をしてはおじいさんに諭される日々。
おじいさんは物静かな人ですが、とりわけ「生きること」や「この世に生きるものたちの命」についてはしっかりとした信念のようなものを持った人。
田舎で出会った人々や同じ年ごろの少年の友達などと様々な経験をするうちに、ハニバルは次第におじいさんの過去に迫ることになり……。
タイトルの「ナゲキバト」はアイダホ州にいる野生の鳥のようです。
銃で狩りをしてみたくてたまらなかったハニバル少年は、おじいさんが「やめておきなさい」と言うのも聞かずに、ある日面白半分に銃を撃ち、ナゲキバトを撃ち殺してしまうのでした。
そこで少年が受けた心理的な衝撃が、文章から鮮やかに伝わってきます。
そこからハニバルは少しずつ少しずつ、命について、自分の生き方について考えるようになっていきます。
ラストの数行が本当に秀逸!
文字も大きめで100ページちょっとしかなく、そんなに長いお話ではありません。すぐに読めますし、全体に静かに流れていくような物語なのですが、それでもずしっと心に残る良作でした。そんなに普段から本を読み慣れていない生徒にもお勧めしやすい長さではないかなと思います。
ではでは、今回はこのあたりで。





