125 「ウクライナから来た少女 ズラータ、16歳の日記」
こんにちは。
今回はこちらの本のご紹介です。
こちらもまた、新改訂の東京書籍中学国語の教科書で紹介されている本です。
〇「ウクライナから来た少女 ズラータ、16歳の日記」
ズラータ・イヴァイシコワ・文・絵 / 世界文化社(2022)
これはね……一気読みでした、本当に。
実話である、日記であるということで完全なノンフィクション。そして背景にあるのはあのロシアによるウクライナ侵攻です。
16歳で、日本で言うなら高校一年生となり、絵を描くことと日本のアニメや漫画が大好きな少女ズラータさん。
彼女は、かつてたまたま叔父の家の本棚で手にした日本語学習の本をきっかけに、日本語にのめりこみ勉強し始めたそうです。その後、日本語の学校にも通って相当な力をつけ、日本語で日本のアニメを見たり漫画を読んだりしていたとのこと。
ズラータさん16歳、2022年の2月。
ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、学校でいきなり先生から「みなさん、明日は戦争になります」と言われたズラータさんとクラスメイトたち。ズラータさん含め、生徒はみんな呆然としてしまいます。
クリミア半島の併合の件からなんとなくきなくさい感じはしていたようですが、それでも若い人たちは「明日も普通に今と同じような日常が続いていくもの」「戦争なんて漫画の中だけの話」と思って疑いもしなかったとのこと。だからこそそれを聞かされたショックは大変なもので。
そうこうするうち、家の近くのガソリンスタンドには車の長い列がならび、スーパーの食料品はどんどん無くなっていきます。
個人的には、阪神・淡路大震災を経験した自分の過去を思い出すような景色の数々。私も非常に寒い中、スーパーの前で何時間も列に並んだ経験があるのです。あのつらさ、不安な気持ちは経験した者にしかわからないだろうなと思います。しかもズラータさんたちは、それ以上の長い時間を、それ以上に寒い地方で何日も何日も経験することに。
ズラータさんはウクライナ第四の工業都市ドニプロに暮らしています。母子家庭でマルチーズのリョーリヤもいます。
「いつか日本に行き、そこで漫画家になりたい」という夢をもつズラータさんでしたが、この件があってお母さまは彼女をひとり日本へ送り出すことを決意。ズラータさんも戸惑いながらもそうすることを心に決めて、つらく不安で長い旅に出ることになるのでした……。
もうね、途中からは本当にページをくる手が止まりませんでした。ある部分では本当に涙が止まらなくなり……。
お母さまもズラータさんも、国民性もあるのかもしれませんが本当に意思が強く、大変な状況で弱音を吐くことはあっても決してへこたれない、本質的な強い精神の持ち主であることがひしひしと伝わってきます。
各所で彼女たちを助けてくれようとする、特に日本人のかたが出てくるのですが、善意で差し伸べられる手であっても「そんな申し訳ないことはしてもらうわけにいかない」と断ろうとする、高潔な精神もうかがえて非常に魅力的です。そういう部分にしっかりとした説得力があるのです。
私は娘がいる人間ですから、ズラータさんはもちろんなのですが特に「お母さまが偉いなあ……」と思ってしまいました。
自分だったらそんなことができるだろうかと。たとえ戦争になって危険なのだとしても、たったひとりの娘を知りあいもいない外国へ一人で送り出すなんて、よくよくのことだと思います。
本当にお勧めです。
特に若い人には、ひとりでも多くの人に読んでほしいなと思った本でした。
よろしかったら、是非みなさんもお読みになってみてください。ではでは。





