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123 「香君」 

 

 こんにちは。

 今回はこちらの本のご紹介です。

 少し前に出版された本ですが、このほどようやく読む機会を得ました。いや「絶対面白いやろ……」とは思っていたのですよ、なんといってもあの「精霊の守り人」「獣の奏者」「鹿の王」の上橋菜穂子先生ですし!

 今回は装丁からしてどうやら植物と関係のあるお話のよう……と思っていましたが、植物のみならず、それを食べて生きるもの、それをまた食べて生きるもの……といった自然全体の係わりまで目線を広げて壮大な物語となっていました。

 こちらもまた、本年度東京書籍版の中学国語教科書で紹介されている本です。


 〇「香君 西から来た少女」上巻

 上橋菜穂子・著 / 文芸春秋(2022)


 〇「香君 遥かな道」下巻

 上橋菜穂子・著 / 文芸春秋(2022)


 今回、特に登場する架空の国々の名前を見ると「精霊の守り人」を思い出してしまう感じ。

 大国ウマール帝国は、数々の藩王を従える巨大な国家。それを支えているのは、はるか昔、神郷からもたらされたという特異な稲、オアレ稲でした。

 主人公は、人並外れた嗅覚をもつ十五歳の少女、アイシャ。この国に従っていた藩王の孫娘でしたが、祖父である藩王は王座を追われ、家族とともに逃げています。

 が、結局両親も死に、アイシャは九歳の弟とともに藩王ジュークチにつかまってしまいます。殺されそうになった姉弟を、計略を使って救ったのは、ウマール帝国から来ていた視察官の青年マシュウでした。

 どうやらこのマシュウ、アイシャの特別な嗅覚に気が付き、それが理由で姉弟を救ったようなのでした。

 その思惑が明らかになるにつれ、アイシャはどんどんこの国の危うさと、オアレ稲の異常な恐ろしさ、それにかかわり苦難を受ける民たちを知ってこの問題にどんどん巻き込まれていくことに……。


 タイトル「香君」はウマール帝国の帝都に暮らす女性。「活神(いきがみ)」として人々から崇められる存在ですが、アイシャはその香君であるオリエと親しくなるにつれ、さらにこの国の問題点に疑問を抱き、植物や虫、土の香りからそれらの声を聞きながらその問題に肉薄していくことに……。


 いやもう、本当に壮大な物語。

「精霊の守り人」をはじめとする上橋菜穂子作品が好きな子は特にですが、そうでない生徒にも是非おすすめしたいものです。

 巻末には先生が参考にされた本も紹介されているのですが、この中に以前ご紹介した前野ウルド浩太郎氏の「バッタを倒しにアフリカへ」があるのが個人的にちょっと嬉しい!


 以前ご紹介した上橋先生の鼎談の本でも参加されていた佐藤多佳子先生や荻原規子先生も大いに精神的な支えになったとのことで、そうした意味でもほっこり。作家同士の(ライバル心もありつつの)切磋琢磨や鼓舞の在り方もまた素晴らしいですね。


 他にも虫や植物が好きな子など、いろいろなひっかかりから児童生徒に勧めやすい本だなと思いました。

 よろしかったらぜひどうぞ!


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