光ってます
短めです
「ジェニングさん、これは……どうしたら……?」
目を丸くした先生が、私の心配をしてくれている。
(ど、どうしよう。昨日はそのまま寝ちゃってて、そのままおさまったけど、どうしよう。えーとえーと)
発光する当の私はというと、なんとかして心を静めようと必死で別のことを考えていた。
「多分、時間が経てば大丈夫です……!」
発光の原因は私の興奮によるもので、それを引き起こすのはまさに面前にいる先生。
そんなことを先生に伝えられるはずもなく、しかも眉を下げての困り顔もとても素敵であるため、全然大丈夫ではない。愛が留まることを知らない。
このままここにいたら、食堂を一生照らしてしまう自信がある。光熱費が浮く。
――あれが、聖女の……?
――桁違いの力だ。
発光で死ぬほど目立っている私に、周囲からの視線も降り注ぐ。ざわざわとした声が聞こえてきて、私も居た堪れない。
「困ったな……どうしよう。痛かったりはしませんか?」
(うっ優しい、うわべだと分かっていてもキュンキュンしてしまう……!)
慌てた様子の先生(いい人モード)が、私のことを気にかけてくれる。それにさらに悶えてしまうので、一層光が収まるはずもない。
「っ!」
おそるおそる私に触れようとしたヴァンス先生の右手が、光に阻まれてバシリと弾かれた。
そしてその右手は、淡く光ってしまっている。
驚愕の表情を浮かべる先生の姿に、私の焦りは最高潮に達した。自分が光るだけでは飽き足らず、推しを光らせるとは何事なのか。推しになんたる迷惑を……!
「ごめんなさい、ヴァンス先生」
「少し驚いただけです。僕は大丈夫。それよりジェニングさんは……」
「わ、私も痛みなどは全くありませんので……あの、しばらくしたら落ち着きます。前もそうだったので。なので、えっと、お先に失礼します!」
言うが早いか、私は残りのコロッケとフライを急いで頬に詰め込んで、慌てて食堂を出ることにした。
せっかくの先生との対話だったけれど、このままでは私が落ち着いていられるはずもない。
その日、ようやく光が収まったのは、食堂を出てアテもなく走り回ってしばらくしてからだった。
某少年漫画のヒーローのような、とんでもない光りぶりだ。聖女って何?こわい。
少なくとも、ファンタジー小説の中ではセシリアはこんなに光っていなかった。光ったのは最後の最後、ラストシーン付近だったというのに。
(一緒に食事をしていたら急に発光して、触ったら発光が伝染るって……これ普通に嫌われる案件なのでは……?)
私がその事実に気が付いたのは、なんとか間に合った午後の授業を放心状態で受けたあと、自室に戻ってからだ。
ちょっと泣いた。




