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空の妖精  作者: 道豚
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ある日の朝

博美は寝るときにブラしてない。


「ぴ・ぴ・ぴ・ぴぴぴぴぴ ぴっ」

 早朝5時30分、枕の下で目覚ましの音が小さく聞こえたと思うと、ベッドで寝ていた女の子が手を突っ込んでそれを止めた。もう一つのベッドで寝ている女の子を起こさないように静かにベッドから降りると、カーディガンをパジャマの上に羽織って部屋を出て行く。流石にこんな時間には誰も廊下を歩いてはいない。女の子は二つ隣の部屋の前に来ると、中の様子を伺いそっと入って行った。

 部屋のつくりは女の子の部屋と同じで、左右の壁際にベッドがあり、そしてそれぞれに少女が寝ている。女の子は左のベッドに近づくと着ていたカーディガンを脱ぎ、寝ている少女の隣に潜り込んだ。




「んっ……ふっ……あっ……うん……はっ……」

 まどろみの中、博美はなんだか胸が苦しく、体が熱くなってきたのに気が付いた。寝返りを打とうとしたが、体が動かない。

「(うわー 金縛りかな……って前にもこんな事があったような……)」

「(でも金縛りなら、リラックスしてもう一度寝たらいいって何かで読んだ気がする)」

 博美は体の力を抜いてみたが、胸に違和感がある。

「えっ…… 胸が動いてる?」

 気が付いてみると、まだAにも届いてない小さな膨らみがリズミカルに上がり下がりしている。先端の敏感な部分にも刺激がある。

「はぁーー!」

 博美は布団を跳ね飛ばして起き上がった。見ると布団の中に誰かが居る。

「だれー!」

 胸を隠して不審者から距離をとろうとして壁に張り付いた。

「あーあ、起きちゃった」

「か・樫内さん! なんでまた、ぼ・私のベッドに居るんですか! しばらく来なかったのに、胸まで揉んで……」

 ボタンが外され、パジャマが肌蹴て胸が曝け出されている。

「いやー 最近ヒロミンが減っててねー ついでにそのAに届かない物を育ててあげようかと」

「いや、別に樫内さんに育ててもらう必要は無いから! それにヒロミンってなに!」

「ヒロミンっていうのはね、私にとって必須栄養素で、秋本さんから分泌されてるの。それに胸の件は遠慮しなくていいのよ。 これでも私、これは自分で育てたんだから」

 たしかに樫内の物は、パジャマを突き上げて自己主張をしている。

「うっ……」

 改めてそれを注視した博美は息を呑んだ。

「(おおきい! 制服を着てると目立たないのに、こんなに大きいんだ。 どうやって育てたんだろ?)」

「ねえ、触らせて!」

 言うが早いか、博美が手を伸ばす。

「ちょ・ちょっと待って!」

 いきなりの事で、樫内が避けようとしたが

「ああっ…… ちょ…… いや……」

 しっかり掴まれてしまった。

「うわー 大きい! …… あれ! (この手触りって、パッドに似てる?)」

 フニフニと博美が手を動かして弾力を確かめ

「樫内さん。 パッド入れてない?」

 核心を突いた……




「ねえ、如何したら大きくなるのかなー 毎日マッサージしてるのに……」

「そんなの、私にも分からないよ。 でも樫内さんはAぐらいはあるじゃない。 私のはAも無いよ」

「ねえ、その子…… 永山さんだっけ。 大きくない?」

 部屋の中でこれだけ騒いでも起きない、博美のルームメイトを見て樫内が言った。

「そうだね、聞いたことは無いけど脱衣所で見た限りC位はあるかも」

「ちょっと見てみようか」

 樫内は博美のベッドから降りると、永山のベッドに近づき、布団を捲ろうと手を掛けた。

「起きてるわよ!」

 パチッと目を開けた永山が樫内を見つめて言った。

「あら、起きてたの。 永山さんも人が悪い。 という訳で、見せて」

 躊躇いもせず、樫内が布団を捲る。ゆっくりと起き上がった永山は、ベッドの上に「女座り」をして、パジャマの上から胸を持ち上げて見せた。

「うっ…… 大きい……」

 樫内が呟く。

「う…… 羨ましい……」

 博美も囁く。

「「触らせて!」」




 高専の寮の朝の風物詩、食堂に出来た行列の後ろのほうに博美たちは居た。

「なんで今日はこんなに込んでるの?」

「ほんとねー 始業に間に合うかな。 私、食べるの遅いから」

「あんた達のせいでしょ! 二人がかりで襲うなんて。 それで用意するのが遅くなったんじゃない!」

 永山がまだ痛む胸を腕で抱くようにして二人を睨んだ。睨みながらも、顔は赤くなっている。

「いやー 良いおっぱいでしたねー」

「やっぱりパッドとは触感が違うよね。 軽く押したときは軟らかく、力を込めると強く反発するの。 パッドは力が弱い時と強い時とで反発力の変化が小さいから」

「博美ちゃん、周りで聞かれてるよ」

 永山が博美の袖を引っ張って小声で言った。

「えっ!」

 言われて博美が周りを見渡すと、行列の前後に並んでいる男子が一斉に空を見上げた。

「…………」

 今度は博美が真っ赤になって俯いてしまった・・・




 やっとの事で朝食を手に入れた博美たちだが、遅くなったせいで三人が座る席が開いていない。

「仕方がないから、分かれて座ろうか?」

 永山が言うが、

「嫌よ! 秋本さんと一緒に食べられないなんて」

 樫内が拘る為に、なかなか座れない。

「樫内さん、拘ってると遅刻するから」

 痺れを切らした博美が、一人分開いていた席に朝食の乗ったトレーを置いた。

「ごめんなさい。 相席いいですか?」

 にっこりと笑って席についていた三人の男子に言う。

「いっ…… いや、もう終わったから……」

 博美の顔を見た三人は、大急ぎで残っていた物を口に入れると、走るようにして返却口に向かった。

「???」

 後には顔中に「クエスチョンマーク」を付けた博美が残された。

「博美ちゃん。 良い手を思いついたわねー」

 永山が納得しているようだ。

「えっ、裕子ちゃん、分かるの?」

「簡単なことよ。 博美ちゃんと相席したら、黒服が現れるじゃない。 男共はそれが怖いのよ」

「……そうなんだ…… なんか悪いことしちゃったなー」

「気にしない、気にしない。 それより、三人で座れた事、良かったじゃない?」

 樫内はのん気なものだ……




 席が無いというのは博美たちに限らない訳で、今も何人もの学生がトレーを持って「うろうろ」している。博美はその中に見慣れた長身の男子を見つけた。

「康煕くーん。 ここ空いてるよー」

「お、おー」

 呼ばれた加藤が、遠慮がちに答えた。途端に博美の周りが「ざわざわ」し始める。

「……おい…… 今、名前で呼ばなかったか?」

「加藤の奴…… いつの間に……」

「黒服はなにやってんだ……」

 ざわめきは博美を中心に同心円状に広がって行き、ついには食堂全体が落ち着かない雰囲気になった。

「何してるのよー。 早くおいでよ」

 博美が自分の隣の席を叩いて加藤を呼ぶ。雰囲気に呑まれた加藤はなかなか「うん」とは言えなかったが、執拗に呼ぶ博美に負けて、隣に座った。

「おはよう、康煕君♪ 今日は遅かったんだね」

 博美は加藤の方を向いて「にこにこ」と話しかける。今にも加藤の腕に抱きつきそうだ。

「おう、おはよう。 おい、あんまりくっ付くなよ」

「大丈夫だよ。 流石にこんな所じゃ何もしないから」

「ちょっと待った! 坂本さん。 今、聞き捨てならない事を言ったわね」

 食卓を挟んで向かい側に座っている樫内が割り込んできた。

「此処じゃなきゃ、何処で何をするのよ?」

「そりゃ勿論、お部屋で……」

「だめー そんなこと許さない! 二人っきりで、あんなことや、そんなことなんて」

 立ち上がって樫内が叫んだ。途端に静寂が音の速さで広がる。0.1秒後には食堂からあらゆる音が消えた。

「そ、そんなことしないから! ただ手を繋ぐだけだから」

 博美が慌てて樫内の言葉を打ち消そうとするが

「なんだとー」

「……加藤、ちょっと外に出ろ!」

「俺の未来は消えた……」

「神は居ないのか……」

 火に油を注ぐ結果となり、食堂は再び喧騒に包まれた……




 そしてこの日、高専設立以来初めて大量の遅刻者が発生した。



 

女子の中での生活に慣れて、博美も遠慮が無くなってきてます。

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