表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空の妖精  作者: 道豚
46/190

生足デビュー

博美の脚は絶品?


「ぴぴっ・ぴぴっ・ぴぴっ・ぴぴぴぴ カチャ」

「(あれ! 目覚まし鳴ったよな?)」

 博美が半分夢の中で考えている。

「(何時なんだろう?)」

 時計を見ようとして、寝返りを打とうとするが、金縛りに遭った様に体が動かない。

「(うわー 金縛りだ…… なんまいだぶ、なんまいだぶ)」

 変な方向に思考が飛びそうにはなったが、それのお蔭か、はっきり目が覚めた。横で寝息が聞こえる。博美はなんとか顔をそっちに向けた。

「樫内さん!!」

 いつの間にか樫内が横で寝ていて、しかも博美を抱き枕のようにして両手両足で抱え込んでいる。

「ちょっと! 樫内さん。 放して」

 なんとか片手を自由にすると、博美は樫内を引き剥がしに掛かった。

「いやー これ私のものよー」

 夢でも見てるのか、樫内は放すまいと力を掛けてきた。

「ぼ・私は樫内さんの物じゃない。 放して!」

 樫内の言葉に恐怖を覚えた博美が大声を出す。

「はっ! 私ったら、なんで?」

 いきなり目が覚めたらしい樫内が飛び上がるように起きた。

「なんでじゃ無いよー ここは私のベッドだよ。 何時の間に入ってきたの?」

「へへへ…… 如何したんだろうね……」

「もう……私は起きるから、帰って欲しいなー」

「私はまだ寝てるから」

 樫内は再び布団に潜りこんだ。

「樫内さん、自分の部屋が嫌いなの?」

「別にそういう訳じゃないけど、此処が好きなのよ。 秋本さんが居るから」

「はあ~ もういいや」

 おもいっきり脱力した博美は、肩を落として洗顔に出て行った。




「おはよう」

 博美が教室に入ってくる。

「「「「おはよう」」」」

 男どもが一斉に挨拶を返した。

「ちょ……ちょっと、皆どうしたの?」

「ああ、気にしないでくれ」

「?????」

 博美は訳が分からない……

「おはよー」

「おはよう、加藤君。 ねえねえ、皆の様子が何時もと違わない?」

「ああ、気にするな」

「何なのよ、加藤君まで! 僕には言えない事?」

「あー まあ気にするな」

「ばか! ふんっだ」

 博美は頬杖を突いて、口を尖らせた。



 2時限目と3時限目の間の休み時間に、裕子が機械科の教室にやって来た。

「博美ちゃん、あんた日曜日、ショッピングセンターに行った?」

「うん、行ったよ」

「それよ。 あんたの写メが男たちの間で広まってるようなの」

「えー やだー どんな写真?」

「ちらっと見たけど、変な写真じゃないから安心して」

「裕子ちゃん、持ってないの?」

「持ってない。 女子には渡さないようにしてるみたい」

「そうなんだ。 ありがと、なんとかして見てみるね」




「かとうく~ん。 僕の写真持ってるよねー」

「え…… えーと…… なんのことかな?」

「も・っ・て・る・ね!」

 3時限目と4時限目の間の休み時間に博美が加藤に詰め寄っている。

「なあ、そんなに近づくなよ」

「み・せ・て」

 博美の剣幕に、加藤は「たじたじ」だ。

「あー 分かった。 見せるから、そんなにくっつくなよ」

 しぶしぶ加藤がスマホを取り出し、写真を見せた。見ると、博美がショッピングセンターをミニスカートを履いて、光と手を繋いで歩いている写真だった。

「やだー なにこれー 誰が撮ったの? 加藤君、誰から回ってきたの?」

「誰が撮ったのかは知らない。 俺は佐々木から貰った」

「副委員長? はあ、もうどうでも良いや……」

「これ、最初はお前だとは分からなかった様だぜ」

「えっ! どういうこと?」

「なんかさ、東京のモデルがお忍びで来てたって言って写真が回ったらしい」

「へっ! まさかー」

「いや、ほんと。 それが今朝、おまえを見て、これは秋本だって一気に広まったって訳だ」

 つまり、日曜日にショッピングセンターに行った男子が、すごく綺麗でスタイルの良い女の子を見かけて写真を撮り、友人に送ったのだった。それをもらった男子が、これはきっと有名なモデルだろうと言い出した。こんな田舎にこんなにも綺麗な女の子が居るとは思えないので、きっと東京から来たのだろう、という事になり、次々と写真が広まったということらしい。

「なんで、今朝まで分からなかったのかな?」

「おまえ、髪型変えただろう。 それで写真の女の子がおまえだと分からなかったらしい。 でも良く似合ってるな」

「そうかなー 僕としてはもう少し伸ばしたいんだけど」

「う~ん。 俺にはよく分からないが、やってみたら良いんじゃない。 しかしおまえって、胸は無いけどスタイル良いよな。 足も真っ直ぐだし」

「胸が無くて悪かったね! 僕だって気にしてるんだから。 ふんっ!」

「あ……悪い……えーと……お・俺は別に、大きくなくても気にしないから……」

 加藤が真っ赤になって博美から目を逸らした。

「えーーー それフォローになってない!」

 博美も真っ赤な顔をして机に突っ伏した。




 放課後、博美はテニスコートにやって来た。手には土曜日に買ったウェアーが入ったバッグを持っている。

「しつれいしまーす」

 部室の中にある女子更衣室のドアをノックして中に入った。

「秋本さん、遅かったね」

 中には既に着替え終わった樫内が居た。

「うん、一度寮まで帰ったから」

 話しながら、バッグを開けウェアーを取り出した。今日はなんとなくスカートにポロシャツを持ってきていた。

「秋本さん、よく似合ってる」

 樫内が自分で決めた物なのに褒めるのを、博美は可笑しく思いながら着替えたが、ふと

「ねえ、この時もアンダースパッツ履くの?」

 気になった事を聞いた。このスカートはワンピースより長いので、要らないかも? と思ったのだ。

「履かなきゃ駄目よ。 男どもが絶対スカートの中を見ようとするから」

「うん、分かった」




 博美が部室から出てくるのを、テニス部の男子と、なぜか他の部活の男子や女子まで待ち焦がれている。

「うーー 早く出てこないかなー 秋本さん」

「あの写真の御み足が生でみられるうー」

「綺麗な足だったよねー」

「絶対にテニスコートに入らないように!」

 部長の杉浦が集まってきたギャラリーに声を掛けて回っている。




 部室のドアが開いた。皆が固唾を呑んで誰かを確かめる。

「「「ぶーー ぶーー ぶーー」」」

 出てきたのは樫内だった。

「なに! なんなのよ、この「ブーイング」は」

「樫内さん。 どうしたの」

 すぐ後ろから、博美が出てきた。

「「「うおーーーーー!」」」

 いきなりの歓声に、博美が「びくっ」とする。

「秋本さんだーー」

「美しい……奇跡だ」

「生足だーーー」

「綺麗な足ー」

 方々から声がする。

「なにこれー! どうなってるの?」

 部室のドアの前で、博美は動けなくなった。



目覚ましを止めたのは樫内です。

加藤の言動に遠慮が無くなってきていますね。

テニスは激しく動くので、絶対スカートが捲れます。スパッツは必需品でしょう。

昔はアンダースコートなんて物を使っていたと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ