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空の妖精  作者: 道豚
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パンツが見えるよ

実家は安心できます。


「ただいまー」

 博美はやっと自宅に帰りついた。テニスウェアーを買って、バスに乗った時には、すでに12時を大幅に過ぎていたのだ。それから30分バスに乗った訳だから、もう1時になろうとしている。

「お腹すいたー!」

 玄関に入っての第一声がこうなるのも仕方が無い。

「おかえり。 なに、女の子が大きな声で!」

 明美が玄関まで出てきて小言を言う。

「仕方が無いじゃない。 まだお昼を食べてないんだもん」

 博美が口を尖らせている。

「はいはい、作っておいたわよ」

 テーブルには美味しそうなピラフが二皿置いてあった。博美はさっそく食べようとする

「博美! 手を洗っていらっしゃい!」

「はーい……」

 すごすごと洗面台に向かう博美だった。




 博美がピラフを食べている側で、明美は買ってきたテニスウェアーを広げて見ている。

「どれも可愛いわねー 樫内さんだったっけ、良いセンスしてるわね」

「スカート、短いんだよ。 アンダーを履くから問題ないって言われたけど、やっぱり恥ずかしいかも」

「これ位は普通じゃないの? 博美も慣れなきゃ。 ところでラケットは?」

「ガットっていう糸を張らなきゃいけないんだって。 張りあがりは水曜日なんだ」

「それじゃ、博美は取りに行けないわね。 お母さんが取ってこようか?」

「うん。 もし出来るならお願い」




 お昼を食べ終わった博美が、飛行機を飛ばしに行こうかなと思って外を見ると、いつの間にか雨が降り出していた。

「ガチャ!」

「ぎゃーー 濡れたーー!」

 玄関で悲鳴が聞こえる。博美が行ってみると、短パン・ジャージ姿の光がずぶ濡れで立っていた。

「お帰り、どうしたの光?」

「お姉ちゃん、帰ってたの!」

「うん、ただいま。 雨に濡れたの?」

「そうそう。 今日は部活があったから学校に行ったのね、そしたら帰りに降ってるじゃない。 仕方が無いからそのまま帰ってきちゃった」

「タオルを持ってきてあげる。 シャワーを浴びなよ」

 博美が持ってきたタオルで、取り合えず玄関で体を拭いた光は、シャワーを浴びに風呂場に行った。雨が降り出したので飛行機を飛ばしに行けなくなった博美は、ソファーに半分寝たような姿勢で座る。

「あーあ、つまらないなー。 テレビでも見よ」

 土曜日は飛行機を飛ばすつもりだったので、それが出来なくなったときには暇をもてあますのだった。




 「ぼー」としてテレビを見ていた博美は、誰かが後ろに来たのに気が付いた。ふと振り返ると、光が立っている。

「もうシャワー上がったの?」

「うん。 ねえ、このワンピース可愛いね。 短いけど」

 見ると、博美の買ってきたテニスウェアーをちゃっかり着ている。二人、殆ど同じ体格なので、問題なく着れたようだ。

「短いよねー でもそれで普通なんだって」

「お姉ちゃんがテニスをするなんて、ちょっと意外だね」

「なんでー 私だって運動ぐらいするわよ」

「お、お、お姉ちゃん。 今私って言った……」

「え! そんなこと言った?」

「言ったよー 凄い凄い、やっと無意識に言える様になったんだ。 でもお姉ちゃんの「うり」が一つ減っちゃったね」

「なに、その「うり」って」

「「萌え」要素!」

 サブカルチャーに走る光だった。




「ねえ、光は何の部活に入ったの?」

 お昼ごはんを食べていなかったらしく、ピラフを食べている光に博美が尋ねた。

「陸上部。 でもこんな可愛い服が着れるなら、テニス部が良かったかな」

 光はまだワンピースを着たままだ。

「でもさ、それ凄く短いよ。 さっきからパンツ見えてるんだから」

 光は慌てて立ち上がると、ワンピースの裾を引っ張った。

「お姉ちゃんのエッチ!」

「うそうそ、見えてなんかいないよ」

「うーー 意地悪」

 本当は見えていたのだが、それを言うと光が怒り狂うかもしれなくて、見えてないことにしたのだ。

「(これは大変だ。 よっぽど気をつけないとパンツが見えてしまうんだ)」

 それは博美に危機感を植え付けるには十分な事だった。




「ただいまー」

 買い物に出ていた明美が帰ってきた。

「おかえりー」

 光が玄関まで出てきた。

「あら、光。 よく似合ってるわね。 でもやっぱり短いわ」

 まだワンピースを着たままの光を見て、明美が言う。

「うん、短い。 そろそろ脱ぐね。 お姉ちゃんに着てもらおう」

 二人がリビングに来てみると、博美はソファーで寝てしまっていた。

「ちぇー、せっかくこれ着せようと思ったのにー」

「朝から買い物で疲れたんでしょ。 寝せときましょ」

 明美は博美にブランケットを掛けてあげた。

「ううーん……」

 それに気が付いたのか、博美が少し寝返りを打つ。我が家だということで安心しきった寝顔は少し幼くも見えて、光は年上だという事も忘れて「かわいい」と思った。

「ねえ、お母さん。 お姉ちゃんって、どこまで女の子になったのかな?」

「どこまでって?」

「うーん……何て言うか……中学校の頃はさ、こう……ウエストが無くてー お尻も小さかったじゃない? 今はどれだけウエストとヒップの差が出来たのかなー って」

 光が身振り手振りで疑問の説明をする。

「そうねー お母さんもそれは気になるわね。 後で見せてもらおうかしら」

「えー お姉ちゃん、絶対嫌がるよ。 どうやって見せてもらうの?」

「うふふ……秘密」

 これ以上聞くと我が身に返ってきそうで、光は口をつぐんだ。

「(お母さんったら、どうするつもりかしら……でも私は知らないんだもんねー)」

 光は炊きつけた事を博美には黙っていようと心を決めたのだった。



博美の座っているソファーは低いので、椅子に座っている光のスカートの中が見えてしまいます。

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