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空の妖精  作者: 道豚
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僕が女の子?

対症療法でなく、原因を突き止めるのは良いお医者さんですね。


 ドクターヘリで運ばれた翌日、博美は診察室で広川から説明を受けていた。昨日仕事を途中で抜けて病院に飛んできた明美も当然隣に居る。

「昨日は大変だったね」

 広川が優しく話しかける。

「どうもありがとうございました。 先生にはお世話になりました」

 明美と博美がお礼を言った。

「でも、何で婦人科の診察室なんですか?」

「いや、すみませんね。 私の専門が産婦人科なんです」

「へえ、そうなんですか」

「それにですね、博美君の検査の結果がちょっと困ったことになっていまして……」





 実際の所、病院に搬送されたときには、意識はハッキリしていて出血も僅かになり、血圧も正常でそのまま帰れるくらいの体調だったのに、出血の原因を探るためエコーで探ったり、内視鏡を入れたりと、検査が終わったのが夜中になってしまったのだった。





「結論から言いますと、博美君は女の子だと思われます」

 広川がさらっと、とんでもないことを言い出した。

「ええっ……」

 博美と明美の声が重なった。

 広川が説明を続ける。

「まず、博美君の外観です。 年齢の割りに小さいですが確かに男性の様子をしています。 しかし精巣が見られません。 滞留精巣かと思い、エコーで調べましたが、何処にもありませんでした」

 そのことは明美は昔、博美が小さい頃に小児科で説明されたことがあった。

「たしか小さい頃、その滞留精巣ではないかと診断されたような気がします」

 それを聞いて、広川が頷く。

「その時に、しっかり調べれば良かったのでしょうが、たぶんそのままにしてあったのでしょう」

 パソコンを操作しながら話を続ける。

「成長と共に外に出てくることもあるので、経過観察する医者も居るんですよね」

 広川は見ていたパソコンの向きを変えて、博美たちが画面を見られるようにした。そこには何やら白黒の映像が映っている。明美は、妊娠中に子供たちをエコーで見せてもらった事を思い出した。

「それで、そのエコーでです。 精巣でなくて卵巣と子宮らしきものが見えたわけです。 ここが子宮で、ここに卵巣が見えてます」

 画面を指差し、さらに驚くような事を広川が言い出した。

「そして膣がどうやら腸に開口しているようだった訳です。 ええと、博美君は膣って分かるかな? 女性が男性を受け入れる所だけど……」

 博美と明美は無言で聞いている。

「それで、内視鏡で見させてもらった訳なんですが、やっぱり結腸に開口部があり、そこから出血が見られました」

 ここで内視鏡で撮ったと思われる写真を広川が見せた。腸の中は綺麗なピンク色で、その一部が切れたようになっていて、そこから赤い液体が染み出していた。

「今回の出血を簡単に言いますと、博美君は女の子で、初めての月経、つまり初潮だということです。 この開口部は最近出来たものでしょう。 でないと膣に雑菌が入ってしまって、大変なことになっていたでしょうから」

 一旦話を切って、広川は二人を見た。

「一応、遺伝子検査をしますが、まず間違いないでしょう」

「…………」

 博美と明美は無言で見詰め合った……




「(僕が女の子だって……)」

 明美の運転する車の助手席で博美は今日の診断結果を反芻していた。

 広川は言った

「博美君の体形が女の子らしくないのは二次性徴を迎えてないから」

「初潮を迎えたからには、これからどんどん女の子らしくなる」

「膣の開いてない症例はわりと在る」

「しかし男性器状になっているのは、私は初めて見た」

 そしてこれからの事として、

「形状をどちらにするかは本人の希望によって決めればいいが、医者としては女性形にすることを進める」

「男性として生活するためには、一生ホルモン剤を打たなければいけなくなり、経済的、身体的にかなり負担になる」

「博美君が性同一性障害(GID)でないならば、やはり女性として生きるべきだ」

 どれもこれも俄かには信じられない事だった。博美はそっと自分の胸を触ってみた。そこには女性らしい膨らみはなく、それほど筋肉が付いていない為、平らだった。




「ショックだったわね」

 明美が話しかけてきた。

「うん…… 」

「博美はこれからどうしたい?」

「僕は女の子で良いかな…… 」

「あせって決めなくてもいいのよ、でも博美がそう言うからにはもう決めたのね」

 母である明美は博美の性格が良く分かっている。

「うん…… やっぱり一生薬が必要なのはイヤだし、性別が変わったって僕は僕で中身が変わる訳ではないし…… 」

「そう、博美が決めたならお母さんはもう何にも言わない」

 信号で止まったとき、明美は博美を見てにっこりと笑った。

「それじゃ博美の下着を買って帰りましょう」

「え…… なんで下着が要るの…… 帰れば沢山在るよ」

「ふつうのじゃなくて生理用のものよ。 家族とはいえ人の生理用ショーツを使うのはイヤでしょ。 お母さんも使われるのはイヤだし」

「(そうなんだ、これから毎月こんな事があるんだ……)」

「……もうちょっと考えようかな……」

 博美が小さく呟いた……

「うふふふ……」

 それが聞こえたのか、明美が可笑しそうに笑った……



水泳の後は見えなくなるぐらい博美のあそこは小さいです。

でも、コンプレックスは持っていません。

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