3.身に覚えのないスキル。
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「えっと、それでキミは……」
「ティアとお呼び下さい。師匠!」
「いや、師匠ではないけど。……とりあえず、ティアはどうしてここに?」
夕暮れ時に現れた女の子――ティア。
昨日より落ち着いた服装の少女は、ボクのことを師と呼んで聞かなかった。
それをひとまず否定しつつ、しかしこちらには疑問がたくさんある。なので細かいことは抜きにして、単刀直入に訊ねた。すると、
「それはもう、師匠に稽古をつけてもらうためです!」
「えぇ~……?」
返ってきたのは、やはりそんな言葉。
ボクは首を傾げて彼女のことを見るのだった。
何度見ても、綺麗な女の子。すらりとした身体つきに整った顔立ち。品が良く感じられるので、それなりの家の子供だろうとは思われたが……。
「昨日のことは、偶然だよ。マグレというか、なんというか」
とりあえず、お断りしなければ。
そう考えてボクは、彼女に昨晩の出来事を説明しようとした。
本来、使えるはずのない【ファイア】が発生し、さらには炎の剣として顕現。それはこちらの意図したことでなく、師と呼ばれるには程遠かった。
だが、それを伝えるより先にティアは首を左右に振る。
「いえ、イソン師匠。私は貴方に命を救われ、確信したのです! ――貴方こそが私の師であり、そして運命の殿方である、と!!」
「運命の殿方、って……」
力強くそう言った少女に、苦笑い。
まだまだ成人には遠い彼女が口にしていると、まるで飯事だった。
もっとも成人していないのは、ボクも同じくで。それ以上はツッコまなかったが、とにかく断りを入れるのは難しそうだった。
だとすると、どうするべきなのだろう。
帳が落ちた頃合い。
人気のない公園にて、そう悩んでいた時だった。
「見つけたぞ、ガキ……!!」
「へ……?」
そこに、数人の男が現れたのは。
顔に見覚えはないが、様子からしてこれは――。
「もしかして、昨日の……!?」
「あぁ、そうだよ。お前のせいで、こちとら依頼主から大目玉だ! 今日は仕事じゃねぇが、少しばかり痛い目に遭ってもらうぜ? ――兄貴、こいつです!!」
不味いことになった。
そう思っていると、さらに奥から筋骨隆々の男が現れる。
兄貴と呼称された彼は拳を鳴らし、強面の鋭い眼差しでこちらを射竦めた。
「昨晩はうちの子分共が世話になったな。だが――」
そして、ゆっくりと構えて。
「今回ばかりは、運がなかったと思って素直に死ねやァ!?」
「し、死ね……!?」
突然に、そう宣言してボクに肉薄してきた。
鋭い、風を切る拳がボクの鼻先を掠める。間一髪で躱したが、異常な速度だ。
もしかしたら彼は、いわゆる【風系】のスキル持ちかもしれない。名前を付けるとすれば【加速】というのが正確だろうか。
「ほう、運良く躱したか。だが、次はそうはいかねぇ」
「ちょっと、待って……!」
だが、考えている間に話は進む。
ボクはとっさに腰元の剣を引き抜いて、構えるのだった。
「待たねぇよ! 死ねぇ!!」
「く、そ……!?」
だけど相手は話し合いをする気がない模様。
そのため、仕方なしに勇気を振り絞って立ち向かうと決めた。
自分の命を守るのは当然ながら、後方にはティアがいる。このままでは彼女の命も危険だというのは、火を見るよりも明らかだった。
だから――。
「賭けるしかない、か……!」
「師匠……!」
そう思って、ボクは昨日を思い出しながら意識を集中。
すると――。
「な、なに……!?」
「できた……!」
炎の剣が、姿を現わす。
轟々と燃え盛るその迫力に、相手の男は一瞬たじろいだ。しかし、
「面白れぇ! こいや、ガキ!!」
すぐに攻撃姿勢に戻り、そう叫ぶのだった。
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