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急激に舞い込む


修治「・・・お前ら、暫く離れてろ。責任があるのは俺なんだよ。連れていった俺が全部悪いんだよ。だから俺の方がお前らより考えてんだからな。その事を忘れて貰ったら困る」

和歌「いや・・・・修治、それは絶対に違うわ。行くと決断した方が悪いと私は思ってる。修治は私達をただ単純に楽しませようとしてくれただけなんでしょ?こんな事に巻き込まれるなんて思ってないし、最終的に行くと決めたのは私達自身だよ」

修治「楽しませようとした・・・・というのもあるが、俺の弟の自殺現場を一度見てみたかった・・・という俺自身の問題もあるから・・・」


 部屋の中から乃蒼の罵声が聞こえました。

乃蒼「ねぇ!!!誰が悪いとか!!責任が誰にあるとか!!とかそう言う事を話す為の休憩時間だったの?!違うでしょ?!・・・・いい加減にしないと、私ガチで手が出そうなんですけど!!少し黙ってくれない!?」

 乃蒼は私達の話を一部始終聞いていたようで、椅子から立ち上がっており、今にも飛び出しそうな右手の拳を左手で抑え込んでいました。



早川「乃蒼ももう・・・やめよう・・・・・。・・・ごめん、私が変な休憩を作ったから・・・・・・」


 早川の今にも消えてなくなりそうな声を聞き、全員何も話さなくなりました。

 私達は無言で席に着席し、ただただ時間が過ぎるのを待っていました。虚空状態でした。


 私達を襲った殺人鬼がまだ近くにいるのです・・・。考えただけであまりにも恐ろしく、リュウの言う通り再び私達は危険な目に遭う可能性が出てきました。当日の警察の捜査で見つかってない以上、これ以上の事は私達ではどうすることも出来ないことでした。



修治「おい、顔は・・・分かるんだよな・・・・・」

 太った青年の顔・・・確か眼鏡をかけていました。

柴田「・・・それは分かる。俺だけじゃなく、和歌もリュウも顔を見てるから」

早川「髪型は?」

柴田「確か・・・・キノコカットみたいな髪型してたような、まぁまぁ長めの。髪型が特徴的ではあると思う」

 途中から雨に濡れていて髪型もクソもありませんでしたが、車の助手席に乗っていた髪が乾いていた時の姿を私はしっかりと見ているのです。


 ここまで話して、私は一つの違和感を感じてしまいました。どうしようもない違和感を感じているのです。



柴田「みんな・・・・先ずこれから警察の話を聞いてからにはなるけど、たった一つだけ・・・・俺達だけであいつの手がかりを見つける方法がある。これが正解になるのかどうか、それはわからないけど・・・・」


 全員が私の方を向きます。


リュウ「本当か?・・・・・それなら俺達で捕まえる事も可能って事?・・・」

柴田「うん・・・。そのやり方が正しければ・・・ね。・・・・修治、協力してくれるか?」

修治「あぁ、とんでもない策以外であればいくらでも俺は付き合うつもりだ」

柴田「もしかしたら雲を掴むような話かもしれないから、過度な期待はしないで欲しい。でも・・・・もうこっちで出来る事と言えばこれくらいしかない・・・・やる価値はある。警察に任せても見つからないようなら、俺達がその小さな可能性に賭けるしかない」



 私はこれまでの様々な情報を自分の中で整理し、一つの希望を掴みました。

 急激に私の中に舞い込んできた可能性・・・・・・太った青年の手がかりを掴む事の出来る可能性がこっち側にある事に気付いたのです。果たしてこの急激に舞い込んできた特急列車のようなものに、全員を飛び乗らせても良いものでしょうか。私は更に考えを巡らせていました・・・・。



 ガラガラガラ・・・・・・


 引き戸が開き、刑事の佐田と女性の警官が入っていきました。

佐田「・・・休憩しっかり休めたか?それじゃあ、話を続けようか」


 休憩中はリュウとの喧嘩で体は余計に疲れてしまいましたが、不思議と少しだけ精神状態は冷静で研ぎ澄まされていました。あの例の業者の情報をどれくらい警察は握っているのでしょうか。それが私の中で気になっている所でもあります。

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