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下山から脱出迄の出来事


佐田「太った青年ねぇ・・・・・」

 山の上から私と和歌を見つけた青年の話になると佐田さんは自分の手帳にメモを取りはじめて、少し考えました。


佐田「・・・・・それでそのシャツを使ってカカシを作って錯乱させたって言ってたね。実際現場でその柴田君のシャツも見つかってる。山の中腹でズタズタになって見つかってるって現場から報告があった。かなりイラついていたと思われる」

 カカシと分かった後もそのカカシをズタズタにする・・・・もはや普通の人間ではありません・・・・。


柴田「カカシの策は、とっさに思いついたんです。この遠目でも居場所が分かる目立つシャツを脱ぎたくて、真横に丁度いいサイズの木があったので、そこに細工する事を思いつきました」

佐田「・・・・ということは確実に山の上からその青年は降りて来ているって事になるね」

柴田「そうですね。実際にそのまま下まで降りて来てました。フェンス前まで和歌と一緒に行ったんですが、軽自動車の運転手が居て挟み撃ち状態になったので、もう一回旧トンネルまで戻って、そこに和歌と隠れました。そこで骨のような物をトンネル内で見つけたんです」

佐田「あぁ、さっきの話か。骨の話は和歌さんにはしてないと・・・・・そう言う事だね・・・・。・・・・・いよいよ肝心な話だけど、どうやって蛇頭ヶ丘から抜け出したの?保守用の出入り口からは出られなかったんだよね??」


柴田「・・・旧トンネルに隠れている間に、目の前で相手側で仲間割れが始まったんです。太った青年がナタでフェンス側に居た青年を刺して殺したんです」

佐田「はぁ・・・・そう言う事か・・・。あれは仲間割れだったのか・・・・」

柴田「そのまま普通にトンネルを出ると直ぐに見つかってしまうので、和歌に服を脱いでもらって、死んだ青年の服を脱がして、和歌の女性物の服を死んだ青年に着させました。体系が和歌に似て痩せ型だったので、これもフェンスを登る時間の時間稼ぎになると思ったんです。二人で引きずって比較的目立つ所に置きました。女性を犯してから死ぬ・・・・そのような事を大声で言っていたので、女性が単独で居たら必ずそっち側にあいつは行くと思ったんです。・・・・・死体に服を着させて囮にするなんて事・・・・・本当はしたくなったのですが・・・・もう自分達が助かる為に仕方なく・・・・心を鬼にして死人に和歌の服を着させました。死んだ青年の服を持って一番木に登り、高いフェンスの上にある有刺鉄線に青年が元々着ていた服をかけて足場にして、木からフェンスに移って外に出ました」

佐田「有刺鉄線にかけたんだな?・・・・わかった、そこも調べておくよ。和歌さんがあまりその事を言いたがらなかった理由も分かったよ・・・・。言いにくい事をよく言ってくれたね。ありがとう。」


 佐田さんは全員の話全てを繋ぎ合わせるという重要な作業をしているようでした。しかし、私が和歌と山を降りる段階でどうしても不可解な事があったようでした。

 何か不穏な様子が伺えますが、一体どうしたのでしょうか。私達は被害者なのです。確かに、立ち入り禁止の場所に遊び半分、面白半分で侵入した事は悪いです、罪です。しかし、その先で起きた出来事など、誰が予想できるのでしょうか。

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