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猛ダッシュ


太った青年「あいつらぁ!一体どこに隠れていやがるんだ!!」

 和歌の服を着た青年を思い切り蹴飛ばしました。

太った青年「ああああああああああああ!!!!ムッカツクーーーーー!!!今までこんな事なかったのにぃ!!!これまで全てが完璧だったのにぃ!!」

 雨の中で狂った青年は叫びました。薄暗い森の中で叫びました。しかし、聞こえてくるのは雨の音だけであり、他の誰も言葉を発しません。


 他の青年達は山の頂上側で修治や乃蒼達にやられてしまい戦意喪失しており、動くことは出来ませんでした。

 この恐怖の出来事でを恐らく後日誰かから教えて下さいと我々に指示がくることでしょう。しかし、答えたくない。今日の事を思い出したくない。今は今日の事を思い出したくありません。でもこの出来事を黙っておくと、また次の被害が・・・・・。


 ・・・・・・・・・・・・・


 ・・・・・・・・・・・・・


 ・・・・・・・・・・・・・




太った青年「・・・くっそおおおぉぉぉぉぉ!!!!あいつら!!・・・・出やがった!!」

 青年が見上げる先は、有刺鉄線に刺さらないようにしっかりと巻かれた死んだ青年のTシャツでした。


 私達はフェンスの外に出たのです。



 ガサガサガサ!!!


柴田「こっちだ和歌!車の光が一瞬見えたような気がした!!」

和歌「うん!!わかった!!」

 私達は道なき道を猛ダッシュで走り続けました。

 時折、携帯電話の画面を見ますが、まだまだ電波は圏外のままです。

柴田「力の限り走ろう!!後悔しないように!!とにかく走り続けよう!!あの時こうしておけばよかった!!こう言っておけば未来が変わっていた!!そんな風に絶対に思わないように、全力で走り続けよう!!俺達はただ走り続けるだけだ!!」

 自分を鼓舞するかのように私は叫びました。和歌もそれに答えてくれます。


和歌「もう・・・・二度と後悔なんかしたくない!!私も走る!!吐いても走り続ける!!どこまでもどこまでも走ってやるんだから!!」


 若い二人は走りました。この夜が他の誰かに呼び覚まされないように、少しの被害で終わるように、願い、そして生還を信じて走り続けました。

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