人非人
私達は恐る恐る隠れていた旧トンネルから出ることにしました。
安全地帯から出るのは本当に怖いです。このままこの旧トンネルの中に居れば見つからない事は確実なのですが、このままでは助けを呼ぶことが出来ないのです。
仮に朝まで青年達と根競べをしていても、その間に誰かが怪我をしてしまっては全く意味が無いのです。とにかく二人で力を合わせて助けを呼ぶ。それ以外の考えは一切浮かんできませんでした。
いつナタを持った太った青年達が来るかわからないのです。雨の中、身を屈めて行動していました。
もう・・・・・この方法しかない。
神様・・・どうか許して下さい・・・・。苦渋の決断をするしかありませんでした。
私と和歌は一本道のフェンスよりも背の高い大きな幹の木を見上げました。
柴田「この木からフェンスに飛び移って、フェンス上部の有刺鉄線さえ乗り越えれば、外に行く事が出来る筈・・・・。とにかく道路まで行って電波が入る場所を探すか、人が居る所まで走ろう」
和歌「そうだね。もう・・・これしかないよね・・・・上手くいくといいね」
柴田「絶対に上手く行く。信じよう。信じるだけだ。この恐怖とおさらばだ。助けを呼んでみんなを助けよう」
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
太った青年「お!!・・・・見つけたぞぉ!!!!女か?!やった!!」
青年は視界に入った和歌を見つけたようで、走り出します。
柴田「ヤバい!!急ごう和歌!!声が聞こえる!!」
太った青年「みぃーつけた!!!」
山の奥から物凄い勢いで走って来た青年は木の横に立っている和歌を見つけました。
ガシッ!!・・・・バサッ!!・・・・・・
思い切り肩を掴んだ瞬間、和歌はその場に崩れ落ちました。
太った青年「ああん!?・・・・またあいつらやりやがったな!!あ・・・・あいつらは人非人だ!!人非人め!!」
旧トンネル前で太った青年によって殺された青年の服を脱がせて、和歌が着ていた服を青年に着させ、青年が通りそうな目立つ木の横に死んだ青年の死体を括りつけておいたのです。ズボンは元々似たようなデニムでしたので履き替えなくてよかったので手間が省けました。万が一靴を先に見られたらアウトでしたが、女性を見つけて興奮している状況であり、そこまでは見られなかったようです。
私はこの作戦を考えた時、絶対に人として許されない事をしたと後悔しました。しかし、もうこれしかないと私達の中で決断をしたのです。亡くなった青年には申し訳ないですが、私達の命を狙ったのは事実。こちら側は生き残る事に必死でした。
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