PAST
到着したのは町はずれにポツンとあるラブホテルでした。ここから少し先のブロックを越えると隣町の大きな市街地が見える位置に存在していました。
立地が良いとは言えない、お世辞にも綺麗とは言えない暗い路地の奥に光る『PAST』の文字。今でも建て替えられること無く、あの頃のまま残っていました。あの時の思い出が私の脳裏に蘇ります。
扉正面が外側から見えなくなっている為、横側から大きな蜘蛛の巣がかかった監視をしているかどうか分からない防犯カメラ前を通って自動扉が開きます。
私達はホテルロビーに入りました。花とブルーベリーを混ぜたような変わったお香の匂い・・・この匂いもあの頃と変わっていませんでした。
このお香が欲しくてショップで探しましたが、どこの店に行ってもこのお香は売っていませんでした。店員の姿も無く、電話をする勇気もなく、結局なんの匂いなのか、わからず終いでした。
柴田「なぁ和歌・・・ここって・・・・・・・」
和歌「ねぇえいちゃん、何号室か覚えてる?」
自動扉入り、正面に部屋番号とその写真が載っているパネルがありました。2.3部屋暗くなって使用中となっていましたが、ほぼ空き室の状態でした。ここは流行っていないホテルなのでしょうか。
柴田「うーんと・・・・・」
私がパネルに指をさしながら考えていると、迷わず和歌は203号室のボタンを押しました。
和歌「ここだよえいちゃん。203が正解でしたー」
柴田「えっ凄いな・・・記憶力が・・・・・」
すると直ぐにパネルが開き、中から鍵が出て来て、エレベータ方向付近にある吊り看板の矢印が点滅し始めします。階段は貼り紙によるとスタッフが使用するようなので階段で部屋へ行く事は出来ず、この矢印のナビに従って私達が押したボタンの部屋に向かって行きます。
部屋の鍵をポケットに入れて、私達は古ぼけたエレベータに乗りました。
和歌「・・・・・・・」
柴田「・・・・・・・」
無言で居ましたら、あっという間に該当の二階に到着しました。何故かよく分かりませんが、私は無意識に息を止めていました。
開いたエレベータを降りると、右に曲がるように壁付けされた矢印が点滅しています。
私達はそのナビに従い、右に曲がりました。曲がった先の正面に部屋番号が点滅している部屋が見えました。
柴田「に・・・・203号室・・・・・・ここだな・・・・」
私はポケットから鍵を取り出しました。
カチャ・・・・
扉が開き、部屋は私達を迎え入れてくれました。
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茶色い家具、白い壁紙、少し大きめのテレビ・・・。そしてダランとしたサイズ違いの茶色のカーテン・・・・。
コンコン・・・・。壁は薄そう・・・・・。
柴田「あ・・・・ここは・・・・・」
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