表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/131

第43話 イギリスにて、掛け金を積み上げる

  ロンドンのロスチャイルド家の邸宅にテンちゃんと華子さんとオレ(シロちゃんに憑依中)で訪ねた。もちろん『水晶の夜、阻止』後の取り引きの交渉のためだ。


「お初にお目にかかります、ルクレチア・レイブンクロー・ロスチャイルドと申します」

ルーシーさんはそう言ってカーテシーをとる。ホストはルーシーさんだけど、今日は華子さんのほうが格上なのでちゃんと挨拶している。この前とはえらい違いだ。

「ごきげんよう。綾倉華子です」

華子さんもいつもと違って、偉そうな……もとい、気品のある姿で対応している。ドレスアップしている華子さんは初めて見たけど、さすが皇族の婚約者という感じだ。


「今日は本物の人間もいるのね……」

二言目で平常運転?に戻ったルーシーさん……ワタリさんもこまった顔だ。

ロスチャイルド家の方(国々を弄ぶもの)々の相手をさせて頂くのは、それなりの立場が必要ですから」

と、悠然と微笑み返す華子さん……さすがだ。ふたりの間に稲妻が飛んでいるように見えるのは、オレの目の錯覚だよね?


「さて、そちらの趣向に合わせて一手、舞ってお見せましたが、お気に召したかしら?」

これは華子さん……たぶんルーシーさんが言った課題を達成したことを言っているのだと思う。

「ええ。星を降らせるなんて、この世の果て(極東の島国)にはなかなか面白い芸当があるものだと……随分、気張って頂いたようですね」

この一言に、テンちゃんがカチンと来たようだ……あんたがやらないから、こっちがせっかく取っておいた力を使って、何とかしてやったのにと怒っているのが目に見える。


「それでは、お約束の通りこちらの望む取り引きをして頂きたいと思います」

そう言って、華子さんは平然としながら結構厚みのある書類をルーシーさんに渡した。あれ? 今回の交渉では貿易の依頼をするだけだって聞いてたけど……

「石油にガソリン、軽油、重油……鉄鉱石、銅鉱石、ポーキサイト、ニッケル、マグネシウム、錫、ゴム……ずいぶん欲張りですね。わたくし自働車の輸入の話だったと記憶しておりましたが」

「もちろん、お望みでしたら自働車をお売りする話もつけますが、前回いきなり取り引きをつり上げた(掛け金をレイズされた)のはそちらと伺っていますけど? 負けを認める(ドロップする)なら、それなりのものを出していただかないと」

おう、ポーカーの話になぞらえてるけど、やり方はヤクザのような交渉の仕方だ。最初に条件をつり上げてきたのはそっちだろうと……確かに『水晶の夜事件』を片付けろと一方的に言ってきたのはあっちだ。


「これだけ要求するには、それなりの条件が必要ですね……そういった物は我々に敵対する国に売るわけにはいきませんから……そちら(日本)がイギリスに敵対しない確証とか用意できますか?」

ルーシーさんは口調は普通だけど、言外に『できるかそんなこと!』と言っているのに等しい。国の代表者のような発言になってるし……ロスチャイルドくらいになると政府に言うことをきかせるのも可能ということだろうか?

「……それでは、もう一度、日英同盟でも結びましょうか?」

華子さんも引かない。『前の同盟を破棄したのはそっちでしょう。別にもう一度結び直してもいいんですよ?』と言いたげだ。


「まさか。それでは日本(そちら)ばかりが得ではありませんか。そこまで踏み込むには、もっと条件の積み増し(レイズ)が必要ですね。たとえば日本と同盟関係のドイツ、あそこもいうことをきかせて頂かないと……貴女方にそれがお出来になりますか?」

なんか話がどんどん大ごとになっていってしまっている気がするのだけど……ルーシーさんが関わるといつも、こんな風になってしまうのは彼女の性格(クセ)なのか? でもドイツがどう動くかなんて、オレたちがどうこうする話じゃないだろう!?


「日本とドイツは同盟関係ではありませんよ」

華子さんが冷静に釘を刺す。でもルーシーさんは、またトンデモな話をし始めた。

「あら、そうでしたか? でも、あなた方がいろいろと手を出したせいで、ドイツと日本は、もう運命がつながってしまったようにみえますわ……今さら手を切ろうとしても、すでに二人三脚で綱渡りを始めてしまっているように思いますけど」

ルーシーさんがさも楽しそうに言う。まるで「貴様らの頑張りすぎだ」というシャ○総帥の声が聞こえてきそうだ。まさかぁ……と思ってみんなの顔を見ると、しまったという様子のハクちゃん、歯ぎしりをして悔しそうなテンちゃん。ということは本当に、オレたちの行動が変な影響を及ぼして日本とドイツの国の運命を近づけてしまったみたいだ。


 それでもひとりだけ冷静に笑みを浮かべながら華子さんが、

「そこまで言うなら、そちらも余計な手出しはなさらないでくださいね。我々が決着を着けるまで」

と言い放つ。あくまでも出来ないとは言わないところが恐ろしい。

「余計な手出し?」

さっきまでの笑顔が消えて、意味不明という表情になったルーシーさんに華子さんは軽く言った。

「勝手に宣戦布告とかするなという意味ですよ」

こんどはルーシーさんが嫌そうな顔をする番だった。


結局、どちらも引き下がるのをよしとせず、ドイツにイギリスと不戦条約を結ばせるという新しい目標(ハードル)が出来てしまった……いったいどうすればいいんだ、こんなの!?

 でもそれまで何も無しということはなく、『それはそれ、これはこれ』と華子さんが内助の功(タフ・ネゴシエーター)ぶりを発揮して、ガソリン、鉄鉱石、ポーキサイト、ニッケル、ゴムの5品目に限っては先に貿易を始めるということになった。そして、これを殿下の訪欧土産として大々的にお披露目をすることになった。



ルーシーさんが絡むと、どうしてもトンデモな話になってしまう……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] どうだろうここらで日本も鬼手を打てば?樺太を南部をユダヤ人にやって東方エルサレム講和国を作り北海道の先に友好国を作れば、日本の国際的立場は爆上がりしアメリカも日本に迂闊に手を出せなくなるよ?…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ