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第121話 戦車用タービンエンジン余話

一週間遅れで済みません。

今回は史実の戦車用タービンエンジンの話で失礼します。

 史実のドイツの戦車用ガスタービンエンジンは最初、1941年に機関車用のものを使って実験が行われたが、経済性の問題など評価は低く、他に優先度の高いものがあったため計画は一旦打ち切られた。しかし1944年になり陸軍総局は2つの利点を見出し再び研究プロジェクトが開始さる。ひとつ目は他の戦車用エンジンに比べて小型で高出力のエンジンが作成可能である事。実際、後に作られたGT101は50%増しの馬力でもHL230の半分以下の重量で済んだ。もうひとつはガソリンに比べて安価な燃料が使える見込みがあることだった。


 当初はこのガスタービンエンジンのプロジェクトはポルシェのO.ザドニク氏率いるグループに委ねられていたが、ユンカースで航空機用ジェットエンジンに携わっていたアドルフ・ミューラー博士が参加することにより精力的な提案と試作がなされるようになった。1944年半ばにはプロジェクトはミューラーを中心に進められるようになり、エンジンの目標要件を1000馬力、燃焼室温度が800度程度と定めた。ちなみにティーガーⅠで用いられていたMaybach HL230 P45は700馬力であった。彼は予備設計として5つのタイプを比較検討し、この中には低質燃料でも適切に混合が行われタービンの局所的加熱が減らせるよう回転式燃料噴射装置付きのものも含まれた。


 最終的に航空機用ジェットエンジンと互換性を持たせるためエンジンコアと出力軸の接続は多段式の変速機による連結となり、回転式燃料噴射装置は廃止された。またエンジン全長が長過ぎてティーガーのエンジンルームには収まらなかった為、ひと回り大きいヤクトパンターが実験用車体として使用されることになった。エンジンを実際の車体に搭載するため若干の設計変更が加えられ、エンジンコアとしてBMW003を使用したこのエンジンはGT101と名付けられる。


 GT101では排気ガスを航空機用ジェットエンジンより低温、低速化させるため大型の整流板が設けられ合せて第3タービンが大型化された。さらに急遽設計変更されたZF社の3ステージトルクコンバータ付き12速自動変速機が搭載され、エンジン速度を監視しタービンエンジンが許容できない動作状況になることを防ぐようになっていた。


 タービンの最大出力は3750hpに達し、このうち2600hpがエンジンの動作制御に使われ残りの1100~1150hpが軸出力にまわされた。エンジン重量は450kgでHL230の半分以下となり単位トン数当りの出力は27hp/tで当時のいかなる戦車より優れていた(パンターで13.5hp/t、T34でも16.2hp/t程度)。またタービンの回転数は負荷に応じて14~14.5万rpmの範囲となり、タービン前ガス温度は800度で所期の目標値をクリアしていた。


 GT101は一応の完成を見たが、さらなる改良を目指しGT102が開発された。GT102はGT101で採用されなかったエンジンコアと出力軸の分離が行われ、実装がコンパクトになり空いた部分に燃料タンクを増設して元の倍の燃料を搭載することにより、HL230エンジンと同程度の走行距離を確保出来るようになった。さらにGT102 Ausf.2では、回転式燃料噴射装置を復活させ圧縮機の段数を減らしたことにより、エンジンルーム内の配置が、より整理され理に適ったものになった。


 またブラウン・ボベリ社の専門家によりGT102に熱交換器を追加したGT103が開発された。これは排気ガスを多孔質セラミックで作られた回転ドラムを通過させ、この際コンプレッサーを通過する空気に熱を伝達させることにより、燃料を消費せず燃焼前の空気温度を高めることに成功、2段の熱交換器により燃料消費を半減させることが出来るものだった。これによりレシプロエンジンと同程度の燃料効率が実現可能となった。


 1945年2月、エンジンの量産に向けて、それまでプロジェクトを率いていたアドルフ・ミューラー博士から同じ名を持つアルフレッド・ミューラー氏にプロジェクトが引き継がれたが、既にヨーロッパでの戦争が終結するまで3ヶ月も残されていなかった。




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