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第105話 機動打撃軍構想、その3

 オレは横須賀の連合艦隊司令部で山本司令長官と機動打撃軍の海軍関係の部分についての構想を話し合っていた。

「それで実際の艦はどうするんだ?」

「どうするとは?」

「空軍だけでなく、総合的な攻撃軍とするなら軍艦も必要とするのだろう」


「はい。当然、艦船も必要です……この軍の艦隊の基本は、攻撃型空母と呼ばれる大型航空母艦になります。これは上陸作戦だけでなく個々の作戦での拠点攻撃や艦隊戦の場合にも、航空戦力の主力となる航空機群の移動基地となるものです。これにはマル四計画の第110号艦および130号艦を想定しています」

「信濃と大鳳か……他には」

「上陸作戦の敵、防衛戦力への攻撃あるいは地点要撃や砲打撃力が必要な場合のために噴進弾(ミサイル)戦艦を配備します。これには扶桑型と伊勢型あるいは長門型戦艦のいずれかを想定しています」

「大和型ではないのか?」

「この艦の目的は大型の噴進弾発射基地ですので、対戦艦戦闘用の強力な装甲やそれを打ち破る強力な砲撃力は必要としていません。むしろ現在の艦隊戦運用には難のある艦を改造して用いるのがお互いの為であると考えます」

「……そうか。まあ大和を召し上げると言ったら海軍中から大反対を受けるだろうからな……後は?」


 攻撃型空母だけでは上陸作戦のような大規模戦では航空兵力が不足するので、強襲揚陸艦と呼ばれるものを用意します。これには現在、陸軍で運用している神州丸やあきつ丸を発展させて航空機を発着艦できるようにしたものを考えています。ここは新造艦を想定しており40隻程度想定しています……これが、ある意味機動打撃群の主力艦となります」

まあ、現代の空母型強襲揚陸艦のパクリだけど……実際、神州丸やあきつ丸は航空甲板を持たせるよう改造されるから、この時代でも考えられる範囲ではある。実際は航空機の性能が低くて、この時代では実用にはならなかったようだけど。


 他にも潜水艦母艦、航空巡洋艦、艦隊指揮巡洋艦と攻撃型駆逐艦、そして兵站艦船について説明を続けた。

「なかなかの大所帯だな。これだけの軍を動かすためには、かなりの人員が必要だ。上に立つ将官もそれなりの階位の人間がいるだろう……貴様が上に立って好き勝手できなくなるが、それでもいいのか?」

いや、上で偉そうにするのは趣味じゃないからいいけどと思いつつ、

「小官は、別に威張りたいわけではないので構いませんが……仕事がやり難くなるのは不味いですね。そうですね、山本長官が上に立ってもらえませんか?」

と水を向けた。うん面倒な役割は押し付けられるし一石二鳥だと思っていると

「いや、それでは自作自演のようでいけ好かん……誰か代わりを探しておこう」

と言ってくれた。もうひとつ、オレはぜひ実現しなければいけない事があるので、それを説明する。


「もうひとつ。兵站艦船こそ、この軍の肝であります。これまでの輸送艦のような鈍足で敵潜水艦の餌食になるようなものではなく、攻撃艦隊とは別行動で輸送任務を行い、独立した司令部、艦隊指揮艦、対潜対空戦闘力を持つ強力な兵站能力……これこそ、この軍の真骨頂であり、言うなれば攻撃型輸送艦です」


◇     ◇     ◇     ◇     ◇


 山本長官の下を辞した後、今度は陸軍内の信頼できる人に構想に問題がないか説明を行う。

「陸上戦力での主力は特五式戦車を中心にした機甲師団となります。基本的に現在の陸軍の機械化車両部隊をこちらに移動させることを考えていますが、流石にすべて持ってきては陸軍が立ち行かないでしょうから特四式や他の戦車は陸軍側に残そうと思います」

「……新型を全部持っていってしまうのか。もう少し何とかならんか」

陸軍を心配する声が上がるが、ただでさえ不足している兵力を二分する愚はおかせない。

「その代わりシベリアで行われた大戦車戦のような、敵との矢面に立って命の削り合いをする戦いは我々が行います……そうした戦いをご所望でしたら、ぜひ我軍にご参加ください。但し司令部で命令する立場ではないかもしれませんが……」


「それと、この軍では地上軍と連携を密にした航空機部隊が機械化車両部隊と同じ指揮下で戦います」

「……今までの戦いと何か変わるのかね?」

「今までは地上軍司令部が航空部隊に対して支援依頼を行い航空部隊の支援攻撃作戦として実行されましたが、新しいやり方では地上戦指揮車が直接、上空の戦闘攻撃機と目標を共有し即時攻撃を行ないます。今までより臨機応変な対応がとれ、何倍も有効な攻撃を行うことができます」


 説明後に、今度は柴少佐と構想の確認の詰めを行う。

「柴少佐、計画案の方はどうだ?」

「そうですね……」

「上官に対しては『はい、はっ』もしくは『いいえ、いえ』で答えろ。それ以外は説明を求められたときだけ行え!」

「はいっ!」

「それで計画案はどうだ? 何か問題があるのか」

「はっ、強力な仮想敵国との大規模戦闘の場合、機甲師団数および戦闘車両数が大幅に不足することが考えられます……航空兵力および鉄機兵で補うことも考えられますが、気象条件や地形に依存してしまいます」


「うーん、そうか……」

アメリカやソビエトのような大国と一大決戦を行ったら、そりゃあ戦車が足りないよな。本来なら航空戦力で敵地上部隊を叩く一択だが、たしかにそれができない場合もありうるか……他に出来そうなことはあるかなとオレは思案し、

「戦車数で優位に立てないなら、別の部分を考えてみるのもありかな」

と口にしていた。

「……それはどんな方法ですか?」

柴少佐が食いつく……オレもそこまでちゃんと考えて口に出したわけではないが、思いついたことを言ってみる。

「例えば、砲弾自体の改良だ。将来の技術では装甲の向上と競うように砲弾技術も改良されていく……」

そして、オレはHEAT弾やAPFSDSの話をした。

「そんな事が……やはり、種子島少将は天才です」

前の言い方と違って、しみじみと感じ入っている様子なのでそれほど失礼な感じはないが……まあ、今回は見逃しておくかと思い言い方を注意するのは止めておく。


「もちろん、これは戦車砲弾だけの話ではない。鉄機兵の成形噴進弾(ロケットランチャー)もHEAT弾の一種だし、多様な噴進弾の開発は日本軍の絶対的優位を作り出す為に必要なものだ……あるいはまた、歩兵が使う短機関銃や鉄兜といった装備も上手く改良すれば大きな戦力の優位を作り出せる。柴少佐は、これらの開発計画を立案し早急に実用化を進めるように」

言葉遣いを見逃す代わりに、ひとつ厄介な案件を押し付けた……まあ、これも訓練だ。オレは心のなかで悪い笑みを隠しながら命じた。


「えっ、そんなことは……」

少佐は突然そんなことを言われて否定的な反応をしそうになるがオレはピシャリと言う。


「復唱!」

「はっ、はい。柴少佐は、新型砲弾ならびに歩兵用の短機関銃や装備の改良案を立案し早急に実用化します!」

そう言いつつ、まるで分かってないという表情だ……少し手助けしてやるか。

「よろしい。何か疑問点はあるか」

「……小官は兵器の開発は詳しくないのですが、どうやって進めたらよろしいでしょうか」

その言い方ではダメだな。オレはついつい教育的指導を入れてしまう。

「ばかもん! 貴様は博士号を取るほど研究は得意だろう。まず先行研究を調べ、その道の先達に問い、進めるべき道を決めろ!」

「は、はい。申し訳ありません!」

縮こまって謝る柴少佐を見て、ちょっと悪ノリが過ぎたかと反省してフォローする。

「だが最初の取っ掛かりは紹介してやろう。ついて来い」

そう言って、とある人物を訪ねた。


……ちょっと性格の悪い種子島少将に筆が滑ってしまいました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 次は7㎜弾の突撃銃か‼イサカの弾で作るAK-47とかね! AK-47なら今の日本の工業力でも作れそうだしな! 7㎜弾なら多くストックも有りそうアメリカと戦う 場合7.62㎜仕様も作ればアメリ…
[一言] オフロードバイクに迫撃砲やロケラン積んで、戦車は文字通りタンク。 後方から敵の側方や後方を襲撃した後、速度を生かしてヒット&アウェイで後方に下がり 装甲輸送車から補給を受けての繰り返し、何て…
[一言] 構想は正しいんだけど、それを今から実行してモノになるのかねぇ。 もう戦争は起きてるわけだし。
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