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第二十一話 新しいスキルさんこんにちは

「うーん、TPOなんてわからないよー」


 おはようございます、ダイゴです。

 今日はアジレラに薬草を売りに行くということで、服装チェックを受けてるんだけど。


――ダイゴ様がお召しになられている服は生地も仕立て方も珍しいので隠された方がよいかと。


「っていわれてもね、着替えがないんだよ。ここに連れ込まれた時は有無をいわさずで準備もへったくれもなかったし」


――水神様に代わりましてお詫び申し上げます。


「調理スキルさんは悪くないんだから謝っちゃダメ。にしてもさー」


 俺がいるのは縁側の先にある倉庫だ。調理スキルさん曰く、ここにいろいろあるものは俺のために用意されたそうで。着れそうな服っぽいんのはあるんだけどアレだ、宇宙を舞台に光る剣でチャンバラやる映画に出てくるに人らが着ているようなローブってやつくらいしかまともなのがない。

 どこの王様が着るんだってふわふわマントとかフルメタルな鎧とか兜とかピチピチのボディースーツとか、なぜ俺に用意されたのか問い詰めたいんだよね。スーツ上下を用意してくれれば着たのに。


――その水色のローブが一番無難な気がいたします。


「だよねー」


 フード付きで足元まですっぽり隠れるローブだ。袖の長さも丈も俺にジャストフィットしてる。

 見た目は綿100%ですって感じなんだけど肌触りは滑らかで水滴も流れていきそう。


「これでフードをかぶっちゃえばいいかな」


――報告が遅れてしまいましたが、実績が解除されましたので家事スキルが追加されております。


「は? 実績解除? 何で?」


――そこは禁忌となっており、お答えすることができません。


「マジか」


 後で説明書を読んでおかないと。

 まあいいや、このローブを持って戻ろう。用意もあるし、最終の持ち物チェックもしたい。

 片道で泊まりがあるから食料も持っていきたい。じゃないと飯がない。食器も持っていかないと。


「魔法鞄が欲しい」


 薬草が売れた金で買えないかなー。行きの荷物はリーリさんにお願いしよう。


――そこにある鞄は魔法鞄ではありませんがどんなことをしても壊れないものですので、持っていったら良いかと思われます。


 え、そんな鞄が……これか、何かの皮でできた背負い式の鞄だ。ちょうど俺の背中にフィットする大きさだ。小物を入れるにはよさそうだ。


 さて、朝食および昼食はパンにする。小麦粉とイースト菌と水と塩とバターでもっちゃもっちゃこねて生地を作る。発酵は調理スキルさんがやってくれるので秒で終わった。食パン用の容器なんてないから手で丸くこねたものを量産する。丸パンってやつだね。

 ベッキーさんの食欲を考慮すると50個はないと厳しそうだ。でも工作みたいで楽しい。調理って工作だよね?

 キッチンの上に丸い生地を並べていく。50個も並ぶと壮観だ。


「よし、焼こう」


 加熱と念じればパンか熱くなっていく。オーブンじゃないのに焼けていく不条理。調理スキルさんお世話になってます。

 焼けるまでにおかずを量産する。


「肉は外せないから、まぁ一口サイズに切って塩コショウで焼くか」


 どうせ食べるなら牛だ。厚切りの肉を取り出せばフライパンが現れる。油ひいて肉を上に持っていけばザクザク肉が切れていく。お肉はざっと2キロほど。


「サラダが食いたいからほうれん草とレタスとトマトを切ってオリーブオイルをかけよう」


 残念ながらドレッシングはないんだ。欲しければ作れってことなんだろう。

 チーンという電子音でパンが焼けた。焼き立てパンの香ばしい匂いがたまらない。

 ひとつ取って割ってみる。


「おお、ふわっとした出来栄え。バターがあると最高だな。よしバターもそえよう」


 先日、倉庫にあった板でお盆を作った。教会に運ぶのに手だと何回も往復しないといけないからさ。

 清掃をかけたお盆にパンを載せていく。半分の25個だ。足りなかったら追加すればいい。昼はまた考えるさ。

 おっとお供えも忘れちゃだめだ。水神様には薬草を収穫するときにお供えしよう。


「わふっ」

「ぶちこの肉も忘れてないから。先に教会に行ってふたりに朝食だって伝えてー」

「わっふ」


 俺が行った時に着替えてたりしたら問題だ。ラッキースケベは御免被るよ。


「水に割るようにレモンも持っていくか」


 水ばかりじゃ味気ないし。

 ぶちこ用の肉も少し焼いたら準備万端。教会へ朝食を運ぶ。


「おはようございまーす」


 挨拶は大事だ。

 ふたりはすでに出発の準備は終わっている様子。ぶちこをもふり倒しているふたりが見えた。


「ダイゴさんおっはよー!」

「おはようございます」


 ん、元気だ。さすがはハンターってとこなのかな。床が硬かったろうけど、家に招き入れるのはまだちょっとね。


「さて朝食にしましょう」


 皿をテーブルに並べていくとふたりが席に着いた。


「わ、生野菜だ! パンもたくさん!」

「……すごい、萎れてないですね」


 ふたりの視線は食事に釘付けだ。ぶちこにも肉をセットして、完了。


「食べる前には手をきれいにしましょう、清掃」


 手を合わせていただきます。


「んー、パンがうまい!」


 塩とバターだけの素朴な味だけど焼きたて補正が付いて絶品になってる。そして後付けのバターが絡んでこれはやばい、いくらでも食べられそう。

 ベッキーさんを見れば、言葉もなく頬を膨らませリスにして食べてた。


「ベッキー、両手にパンを確保しなくてもはパンは逃げませんよ?」


 リーリさんはサラダを優雅かつ高速で食べている。こちらもリスの様だ。お気に召した様でなにより。


「昼食は用意してますが、朝と同じです、ただ夜の食材も持って行きたいのでリーリさんの魔法鞄に入れさせて欲しいんですけど」


 リーリさんはもぐもぐしながらこくこくと頷く。いつものお上品はちょっと家出らしい。


「持っていく必要があるものはわたしが預かりますわ」

「助かりまーす。夜もまともな食事にしたいし」

「よふほたふはんはへらへふの?」

「ベッキー、食べながらおしゃべりははしたないですわ」

「わふわふうわふわふ」

「ぶちこ、たくさん用意するから慌てないで」


 腹ペ娘は期待を裏切らないね。ぶちこ、君もそっちの属性も持ってたのか。


「あ、リーリさん、片づけたら薬草を取るんですけど、どこから切ればいいですかね」


 まさか根っこごととかいわないよね。


「根以外を取れれば一番良いと聞いたことがあります」

「そっかー。じゃあ地面すれすれで切ればいいかな」


 うん、方針は決まった。時間が押してるから先に食べ終わろう。あと増えたスキルの確認だ。


「食器は持っていくのでテーブルに置いておいてください、もどってきたら綺麗にするので魔法鞄にお願いします。ちょっと薬草を取りに行ってきますね」


 いそいそと家に戻って説明書を開く。この説明書はさっきの鞄に入れていこう。


――スキルが実績解除されました

買物:大体1割引きになる。家計が助かるね!

裁縫:服飾の作成が可能。エッチな下着も作れるよ!

ごみ捨て:不要物の消滅が可能。キレイを保てるね!


「おおおお、服を作れるようになってる! 着替えを買うよりも布を買って自分で作ったほうがいいんじゃ? ごみ捨てもかなり便利だ。今回みたいに出かけた先でのごみ問題とか、大助かりじゃん。タイミングが良すぎだけど」


 買い物は、うん、普通に助かる。

 収納関係のスキルが欲しいけど、それは贅沢ってもんかな。いまでもありえないくらい便利なんだし。


「おっと薬草を取らないと」


 速足で外に向かった。

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